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最新記事 銃火器の歴史・ハード編
出番が少ないのが哀れという事で急きょ出演が決まった雪音+おまけだ。
今回は銃の発展の歴史・ハード面について説明させてもらおうじゃないか。
…おまけね。まぁあたしは銃には詳しくないからおまけ扱いでもいいでしょう。
さっさと終わらせなさい。
いや、おまけは相棒じゃないぞ。ほら、そこに変なのが一匹いるだろう。
ざ、ザフ子は変なの扱いですか?
銃を撃った事のない素人さん達のためにきてあげたのに。
…あんたの日頃の行いをみてるとね。
失礼な。士官学校のゴルゴ13と呼ばれるザフ子に向かってなんて事を。
射撃格闘、ザフ子はトップです!
ご、ゴルゴ…。
スネークと呼べぇ!!
なに、メタルギア?
(うぜぇ…)
カート・ラッセルの方じゃないの…セリフからして。
(この娘ウザいわね…)
まあいいか。では銃器、今回は歩兵が扱う小銃のカテゴリの説明をさせてもらう。機関銃や各種用途に特化した銃は個別にしていく予定だ。
さて、まずは銃を扱う際の鉄則を覚えておこうか。メガネ、ここにある銃で説明してみろ。
はい!まず鉄則中の鉄則、銃口を人に向けてはいけません。絶対にです!
たとえ装弾していない銃だろうと、壊れている銃だろうとそれは変わりません。銃口は人に向けないように。


      r ‐、
      | ○ |         r‐‐、
     _,;ト - イ、      ∧l☆│∧  良い子の諸君!
    (⌒`    ⌒・    ¨,、,,ト.-イ/,、 l  薬室に弾が入ってなくても相手はわからないぞ。
    |ヽ  ~~⌒γ⌒) r'⌒ `!´ `⌒)  その場で反撃されても文句はいえないな。
   │ ヽー―'^ー-' ( ⌒γ⌒~~ /|  
   │  〉    |│  |`ー^ー― r' |
   │ /───| |  |/ |  l  ト、 |
   |  irー-、 ー ,} |    /     i
   | /   `X´ ヽ    /   入
なによそのゴルゴ状態。
!!


      __ .,-u--、 
      / |`ー/ ヽ  
    / _¨`ヽヾ /ヽ 
    ! .´ ヾll | | |  
     |.ゝ ノ /|/ .L/|     
    ヽ ー ´/ f l ゞfi-, = 、
    _|   | ! |」__ /   ヽ 
   /  .ゝ___ノ_ノ/__ | ゝ___ ,ィ/  
  ./  /  |  ||、l_| !゙¨~/
 /  /ヽ.  !   |! ヽ!  |ゝ 〉 
|  l  \|  |!__ノ, - 、 /  
| /}ヽ..  L_|_/   ノ|' 
/ / {  \      / !l
|  ヽ |   ヽ-ー  ̄  ノ.|    
  |  ヾ| -、      _ />|
\  \ `゙ ー‐ ´  //   
 ヽ  | |`゙―---―' //   
!!
!!
!!
…あたた。ほ、ほら、銃口を向けられると怖いでしょ。その恐怖が人を反撃に駆り立てるんです!!
それに本人が弾は入ってないと思っても、実は装填されていて暴発する可能性もあるんです!
い、言ってる傍から銃口を人に向けているあんたはなんなのよ!!?
よく見てください、これはたんなる鉄パイプです。
とっさの事だと銃とパイプの区別もつきません。
ほれ、それくらいにして話を続けてやれ。
(装弾の確認か…ゲッタウェイのあのシーンを思い出すな)
はい!鉄則その2!人間に対して撃つと決めたら絶対に躊躇しないこと!
さっきのように銃口を向けたら相手も死に物狂いで反撃してきます。もちろん相手の方が先に銃口を向けてきて、反撃を迫られる場合もあります。
そんな時に躊躇したらダメです。撃つと決めたら絶対に引き金を引いて、当てるんです!
その方がいいみたいね。悪いけどあたしには、この先銃を持ち歩くような予定はないけど。
別にこの先ICBMが都心に落ちてモヒカンや悪魔が跋扈するような事にもならないでしょ。
鉄則は以上です!あとは常に銃の状態を把握しておくこと、装弾状態、安全装置、ハンマーのコッキング、そういった事に常に注意を払ってください。
持ち歩くときは可能な限り装填しない、安全装置もかならずかける事。
あとは撃つとき以外に引き金に指をかけないでください。これもいつ弾がでるかわからない危険な状態です。
常に引き金に指をかけるのは下っ端チンピラか考察ナッシングのアニメと映画だけです!
たしかにそれはアレよね、見ると萎えるわ。
アニメの放映告知ポスターでもトリガーに指かけっぱなしのがあったわ。
ま、銃の扱いについての注意事項はそんな所だな。では本編行くか。
では相棒、銃の開発にまず必要な物はなんだ。
鉄とかいろいろあるけど、決定的なのは火薬じゃないの。
他の物は他の技術からの流用がききそうだし。
まあ間違ってないな。冶金技術や工作精度は他の物からの流用も聞くが、火薬だけはそうはいかないからな。
人類史上最初に出てきた火薬はなんだ。
黒色火薬よ。たしか中国で発明されたのよね。10世紀くらいにはもうあったとか。
分かっている範囲では7世紀にはすでに見つかっていたらしい。本格的に使われ始めたのは10世紀くらいかららしいが。
兵器に称される前はもっぱら花火として使用されていたみたいだな。
この後、砲の歴史でもやったとおり、黒色火薬は人類唯一の火薬として君臨していた。
なぜ黒色火薬しかなかったのか、他の火薬を開発できなかったのか。答えてみろ。
あ…。かんたんです、化学が発達していなかったからです。
じゃあどうして化学が発達してないと火薬が作れないのか。
それは火薬を作るためには薬品を作る必要があるからに尽きる。複数の薬品を触媒にしたりして火薬を作る。薬品の製造には化学が必要となるわけだ。 化学を理解するには物質の構造を原子や分子と言った観点で理解する必要がある。
そこまで行くには随分と多くの段階を踏まないといけないわね…。
そうだな。化学は観測できる能力があってナンボだ。何が起きているか理解するだけの能力がないと。
微分積分を理解するには数学の基礎的な知識が必要なのと同じ事だ。
一方で黒色火薬はどうしてつくれたのよ?
黒色火薬は自然にある物質を混ぜるだけで作れるからな。成分は各自で調べてくれ。
銃を作る時に面倒だったのが、銃身の底をふさぐ方法だった。これがしっかりしていないとそこからガスが漏れて威力が落ちる。
ついでに言うと危険です!砲の講義の時に身をもって経験しました!
最初は妥協してガス漏れを我慢して使っていた。この場合は後部に蓋がある事から弾は後ろから装填する。
質問です!この時代の銃身はどうやって作っていたんですか!?どうして栓をする事が出来なかったんでしょう。
金属の加工というとまず素人が思い浮かべるのが鋳造だろうな。型に溶かした金属を注いで形をつくる。 その気になれば素人が自宅でやることも可能だ。
金属をどうやって溶かす気なのよ…。
最近じゃ低融金属なんてのがハンズに売ってるぞ。それに鉛みたいに融点が低い金属ある。これだとキッチンレベルで溶かせる。
実際鉛が簡単に溶かせる事は重要で、銃を扱う兵士には専用の弾をつくるキットが支給されたりもしていた。サッと溶かして弾を作るんだ。
それで、銃身は鋳造で作れるの?
初期では無理。鋳造の欠点は強度が低い事だ。金属という奴はしっかりと加工をしないと柔らかい。金属は叩くと丈夫になる。刀鍛冶なんかがハンマーで刀身を叩いているのもそのため。こういった方法で作るのを鍛造とよぶ。
でも鋳造で作った銃身はそういう事ができない。
つまり強度が不足するんですか?
仮に作っても人に持てない重量になるとか?
そうなるな。だから加工するには板状がいいんだ。
そこで銃身を板で作ることにした。鉄の棒の周りに細い板を巻きつけて形にして、それを鍛造するんだ。最後に底を螺子などで塞いで完了。
なんかすごく手間がかかりそうね…。手作りで一個一個作ってるわけでしょ。
その通りで、生産性には難があった。その後鋳造で作ったものに焼入れをして強度上げる手法が取られるようになった。これで生産性がかなりあがったな。
100均で買ったドライバーなんかは先が簡単に潰れるが、これはまともに焼入れしないせいだ。硬度の差が歴然だろ。
最新の設備だと、金型を使って金属に圧力をかける方法(コールドハンマー)で銃身をつくる。
あくまで最新だから鍛造で作っているところもあるけどな。貧乏自衛隊みたいに発注数が少ない所を相手に商売すると設備投資がな…。
ともかく銃身はつくれるようになった。底をふさげるようになったが、あくまでも固定での話。開閉可能にするとやはり隙間ができるから前から弾を入れるタイプの銃が初期の銃の基本になった。
さて、火薬は中国から欧州へ伝来する。そして銃の製造が試みられるわけだ。最初の銃はハンド・キャノンと呼ばれる。
登場は諸説あるが14世紀。
ハンド・キャノン。聞きなれない銃です。どんなものなのでしょう?
ものすごく簡単に言うと、鉄の筒に持ち手をつけただけ。パイプの底部分に穴が開いていて、そこに火種を差し込めば火薬が燃焼して弾が飛び出す。
ここに実物がある。さっそく撃ってみろ。
こ…これは?
これは…アレね。もののけ姫にでてきた初期型石火矢そっくり。
まあこのあたりは色々似たようなものがあるから正確ではないんだが、イメージとしてはそれでいい。
まだこの頃は縦深の内部もスームーズなスムースボア。
じゃあさっそく撃ってみろ。
これは火種を直接手で差し込むタイプなんですね。となると本体は片手でもたないと…。持ちにくい上に照準器がないんじゃ狙いようがないです。
反動も受けとめにくいですし、なんだか武器という感じがしません。手持ち打ち上げ花火?
当時の人は撃つために片手だけで保持したり、肩に担いだり、胸に当てたりしてたみたいだな。とにかく撃ちにくく狙いにくい。
実際実戦じゃ大したことのない兵器だったようだな。
ただし、この後も銃の大きなポイントの一つは持っている。
小さな玉が飛んで行くところですか?
そうじゃなくて音だ。発砲すると大きな音がするだろ。これが戦場ではかなり重要。
たかが音でしょ。居場所がわかるだけじゃないの。
それがな、でっかい音って言うのは相手をビビらせるのに最高なんだ。
戦場ではだれもがアニメのキャラのように勇猛だったり狂ってたりしない。だいたいがビビっている。
そこで大きな音をさせるとかなり戦意がゆらぐ。状況によっては潰走までいくぞ。
戦場でホラ貝を吹いたり、雄たけびを上げたり勝鬨をあげたりするのは意味がある事なんだぞ。
嘘だと思うなら肝試しの最中に爆竹でも使ってみろ。下手な脅しよりよっぽど効果的だぞ。
それは納得いきそうね。
さて、とはいったモノのやはり武器としてはアレだ。
中国で登場した火器だが、そこから進化や大量投入が進むのは西洋だ。ここからは基本西洋の話になるぞ。
メガネ、この武器のどの辺りを改良すればもっと使いやすくなる。
そうですね。まず着火方式ですか。銃を保持したまま着火できるようにしてほしいです。
それと狙いのつけやすい構造にしてほしいものです。
今非常にいい事をいったな。保持と着火方式。これは銃を開発するにあたって常に試行錯誤された点だ。
最初は火種を手で直接挿入していた銃は、銃を握ったまま火種を挿入できる形に進化していった。
さらに着火方式を改良した銃が15世紀初頭には登場だ。
これは火縄銃です!
そう、火縄を利用したマッチロック式と呼ばれる銃の登場。火種には火のついた縄。着火機構を組み込んで、引き金を引く事によって火種が着火点に接触するようになっている。
まだバネや歯車なんかを利用した着火機構でなくて、レバーの動きに連動する程度の単純な品だが、問題なく両手で構えられるし、火種を見ないで目標を見続けることができるぞ。
これのおかげで銃を両手で保持して正確に狙いをつけやすくなった。では撃ってみたまえ。撃ち方は知っているな。
撃ち方の前にまず持ち方を説明させてください!
小銃を持つときの基本は3点保持です。3点、つまり両手と肩(もしくは脇)を使って銃を固定するのです。
しっかりと固定しないと絶対に弾はあたりません。引き金部分を右手、銃身を左手でしっかり固定。最後に銃床(銃の一番後ろの部分)を肩に当てるのです。担いじゃだめですよ!
モノによっては銃床が肩に当てられないので、この場合は脇に挟んでください。日本の火縄銃も脇に挟むタイプです。
間違った構え方
                              r、_,, ----- 、_   
                              ∧  、 i    ヽ  
                               /∧ii i i i i i ii iiヽ
        i^、             ,____/::i,イ| ii:.:i i:.:i:.:.i i i:.::.i:.:i  その綺麗な顔を吹っ飛ばしてやる。
        ||^\__________{{二二二ニY/  |::l::::l::l:::::::l::l:::::l::::::|-、
 lニニニl===={{ニ {({をー{王{王{王{王{{T(iニ二_____| ト_, |::l::::::::l:::::::::l::::::::::::|-||
        ヽミ~`ヽつ  ̄\‐'ー'ー' ̄| ||ヲ・ ・ { |:! |:::l:∧:::i:::::ソ:::ノ:::::ノ ||
          `゙ ー 、_    !    .|_ ||{_9イ] _ヾ゙ー!!!ハ∀ヾ,--- ヾく\_|、
              `ー、 `、  ////  (二)\〉\_/: : : : : : : : : : `ヽ、
                 〉'⌒ヽ ////    ヽ三}< / : : : : : : : : : : : : : : :ヽ、
                !: : :!`ー'         ノ^ : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ、
                 !: : :!        ノ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::.:.\
                 !: : : :!       / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::.:.::i
                 !: : : :!    / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::}
正しい構え方
                                                     __
                                                  ,≠´ ̄: : : : : ̄`ヽ.
                                                /: : : : : : : : : : : : : : :\
                                               /: : : : : : : : :_,.≠ ^ヽ: : : : :!
                                               ハf`ー―'' ̄´ ,-、 <: : : : :l|
                                              {/ハ._  r―'´_,.ヘ_ ヽ: : :,r-i
                                            _ ,,..-!、`ヽ._jノ_`ー-'tァニイ  |: : f^l }
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   i、弋__ノ丿_,.=7-'  __..==ニ ̄         _,..≠`〉fr^j、 __,.=≠´| || (_jソ_j /: : ://|;,;,;,\: : : : :テ   /  /
    ー-‐7、_,.  j--=、 ̄          _..≠    /__ヽ` ン、._: : : : ト、._ニ-'}/: : : : : ノ‐‐〈: : : : : :.   /  /    ,.__=ニ
    r--<`ー'´    ヽ.       _,..≠|´ ̄ヽ    ̄ `、   \ャ___ヽ.`ー-'/: : : :/:/;,;,;,f´: : : : :.___/  /  ,._=≠´
  ,.==' ̄ヽ `ヽ.      !   _,.≠   f´   |    _,.--' ヽ   ヽ_ノ j`ー'l: : : : : /;,;,;,;,;|: : : : : :`ー-、.   / /   /≠´
 / ,......、 ヽ ヽ !.     j-‐ ̄      ヽ.  .ノ__,..イ´         |ヽ=、`フ: : : : :.:/;,;,;,;,;,;j: : : : :  /  ハ/´  _,../
戦争用だと肩の方がいいんだけどな。日本の場合は伝来したのがこのタイプだったからな…。
では撃ち方です!まずは荷物の中の火種入れから火種(焼けた石など)を取り出します。
次に火種から火縄に着火します。そして火縄を銃に取り付けます。
最後に火薬を取り出して、着火点(火皿)に入れて、安全のために火蓋をします。
ハンドキャノンと違って、装薬に直接火種を突っ込むんじゃなくて、火皿に別に点火薬を入れている点が特徴だな。こっちの方がずっと信頼性が高い。
さて、これで発火機構は準備完了だ。火蓋という安全装置があるのもいい発展だな。火器において必要な時以外に暴発しないということはとても大切だ。
ちなみに戦闘を始めるという意味の、火蓋をきるという言葉はこの火縄銃の火蓋からきている。
では装弾です。さきほど火皿に注いだのと同じ火薬を銃口から注ぎこみます。次に弾を入れます。
入れ終わったら銃身につけたロッド(付き棒)を銃口から入れて火薬を突き固めます。
前から装弾するタイプの銃をマスケットと呼ぶ。マスケットという銃があるわけじゃないから勘違いしないように。
発射準備完了だな。よし、撃て!!
ファイア!!
ここまでが火縄銃を撃つまでだ。
前の銃よりは随分と実用的になったが、戦場で火種を持ち歩くのは面倒だ。着火方式の改良が試みられる。
いままでの物だと火縄が点火薬にあたればいいから簡単で済んだ。しかしそれ以外の方法を取るためにバネなんかを利用した機械式の発火機構が考えられる。
有名所だと16世紀初頭にギザギザをつけたホイールと火打石を組み合わせる方法。引き金を引くとホイールが回転して、火打石と接触して火花がでる。
この火花で着火する方式だ。これをホイールロック式と呼ぶ。百円ライターの着火装置を思い浮かべてくれればいい。
聞いた事のない名前だわ。
これはコストが高かったり、故障が多かったり、王に禁止をされたりして流行らなかったからな。
そこでより安価にした方式して、ばねの力で火打石をたたきつける方式が開発された。飛んだ火花が点火薬に火をつける。これがフリントロック式。信頼性も高くて一気に普及した。
形状によって呼び方が異なるが、火打石タイプはフリントロックと覚えておけばいい。
こいつを生産するには一定の力をだせるだけのバネがないといけないから、銃が登場してすぐ開発…とはいかなかったわけだな。
これは聞いた事があるわ。たしかJ・スパロウが使っていた奴と同じだわ。
この方式は安価で使いやすいので一般に広まった。
基本雷管が発明されるまでの銃はフリントロック式と思ってもらって問題ない。
撃ち方の手順はほぼ同じ。火縄が火打石に変わっただけ。
違う点は火蓋がない点だ。フリントロック式は火蓋に火打石を当てる方式だ。当てたと同時に火蓋が解放されるから、いちいち火蓋を開閉する必要が
それでは撃ってみます。まず点火薬を装填、銃口から装薬を入れて弾丸を入れてからロッドで突き固める。ロッドを戻す。
最後に構えて、バネで保持されたハンマーを引き上げる。発砲準備完了!
ティロ・フィナーレ!!
(あーあ)
(やっちゃった…)
…結構引き金を引いた後の衝撃が大きいですね。バネと火打石の接触が問題ですか。
そうなんだ。ハンマーが火ぶたを叩く衝撃がかなり大きくて、発砲直前にかなり銃身がぶれる。当然狙いがずれる。
ブレルことを考えると、ザフ子には火縄銃がそれほどフリントロック式に比べて劣っているとは思えません。
どういった利点があるのでしょう?
まあ簡単に説明すると下のような感じになる
マッチロック式
フリントロック式
火種保持が必要常に使用可能
着火物縄・調達が容易火打石・産地から調達
一定回数で交換が必要
精度ブレがすくない火打石接触の衝撃で銃身がぶれる
不発無し有り
全天候性雨で使用不可火縄に比べると強い
安全性火の粉が飛び散り危険
隣の銃が暴発する可能性あり
密集隊形でも使用可能
なんというか、どっちがいいとは一概にいえない差異だわ。
そうだな。ただ、軍隊必要な安定性や隊形の自由度を考えると、軍用としてはフリントロック式で確定。
実際に欧州ではフリントロック式が軍用として使用されているわけだし。
というか集団戦に適さないのは主力にならない。槍と刀みたいなもんだな。振り下ろしたり突いたりする槍は集団戦で使えるけど、振り回す刀だとそうはいかないのと同じ。
では民間用としてはマッチロック式がいいのでしょうか。
一撃必中が必要な猟師は命中精度のよい火縄の方がいいだろうな。
実戦でマッチロックとフリントロックの差を見るには幕末の戦闘を知るのが一番だ。
当時の軍は外国から大量のフリントロック式の銃を購入していたからな。
知っています!ゲベール銃という奴です!
性能的には日本の火縄銃とあまり変わらんな。ただ、最終的に官軍がどんどん近代的な集団戦闘に移行していった事を考えるとどちらが戦争向けかはまあアレだな。
というよりもより良い武器を持った方が勝つ時代になったというべきじゃないの。
ここから先に銃に大きな変化はしばらくない。射撃制度や製造方法が向上していくくらいだ。
それと大きいのが火薬の品質がどんどん向上していることだ。同じ銃でも火薬がよいと当然性能も向上する。
欧州ではフリントロック式の銃が制式に軍隊で採用されて標準的な武器になっていく。その間に軍隊も進化して、フランス革命によって国民軍が生まれ軍隊が巨大になっていく。
実際に戦争をするとどんな感じになるのでしょうか!?
銃の撃ち合いといっても、射程や精度を考えると撃ち合いだけで戦争が終わるとは思えません!
まあその辺はいくらでも映画なり漫画なりで表現されているから色々と漁ってみろ。
個人的には皇国の守護者の漫画版がお勧め。作中で使われている銃は全部フリントロック式の滑腔銃だ。
ではここで同じ飛び道具である弓との関係を調べていこう。
それは興味深いわね。用途が同じなんだからどうやって銃が弓を駆逐していったか気になるわ。
最初に言っておくが、スムースボアの銃(拳銃等小型は除く)は、武器としての性能だけを見るなら弓よりも必ずしも全面的に勝っているというわけではない。
えぇ、近代兵器の代表ともいえる銃が弓よりも弱いんですか?
どう考えても銃の方が強そうなんですが。
では聞くぞ。飛び道具の性能で重要な物はなんだ。強いというからにはそこを調べないと。
それは簡単です!
・射程距離
・発射速度
・威力
・生産性
じゃあその4つを検討していくか。まず射程距離だな。飛ばすだけなら数百メートルは飛ぶ。
この当時の銃だと有効射程はせいぜい100m。本気で当てようと思うなら相手の表情がわかる距離で撃つ必要がある。
え、そ、そんなに短いの?
短いんだ。スムースボアは一定距離を飛ぶと弾丸が転がるように銃身を進む。銃身を出た後も同じように回転して弾丸が直進。 回転のせいで大きなブレが発生する(マグヌス効果)。まあ当たらない。
一方の弓、ここではロングボウを例にすると曲射をすれば数百メートルは飛ぶ。まあ大砲と同じだ。
圧倒的な差ね。話にならないわ。
??
発射速度はロングボウで10秒で一発は撃てる。弾幕射ならもっと早い。
銃はさっきまでの動画を参照しろ。どっちが速いかは説明するかもないだろ。
銃はともかく装填に時間がかかっているわ。
威力に関してだが、ゲームの中じゃ高級防具として名高いプレートアーマーを貫通できる。戦場で必要な威力は持っているな。
銃の威力は口径などにもよるが基本現在の拳銃の域をでない。それでも弓よりはずっと上。
ただし銃対策をした大将クラスの装備したしっかりとした鎧だと距離と進入角度によっては弾ける。徳川家康が身につけていた南蛮甲冑なんかがそれ。
まあ、滅茶苦茶重いので銃が主役になって威力がどんどん向上。さらに機動力が優先されるうちに鎧での防御はすたれた。銃に対してしっかりとした防御ができる防具ーが再び普及するのはつい最近の事。
じゃ、じゃあ鎧って何のためにつけるのよ?
プレートアーマーは刃物に対しては最強だぞ。鷹の団の切り込み隊長でも連れてこない限り切り裂くのは無理。
じゃあどうやって倒すの?弓の一斉射?
接近戦ならメイスみたいな打撃武器で殴れ。鎧越しに中の人にダメージを与えられる。
RPGじゃ剣が最強だが、実戦じゃ威力の点では打撃系だな。モーニングスター最強。
ど、ドラゴン殺しなら!?
最後に生産性だが、銃は強度の高い銃身を作ったり、発火機構を組み込んだりと非常に高価。日本の戦国時代だと信長のように有力な産地を抑えないと大量生産は不可能だな。
弓はそこまで面倒じゃない。まあそれでも作るのは色々と大変で日本じゃ生産できなかった事もあるが…。
…何というか、銃っていいとこなし?
ないな。せいぜい音がする事だけ。

ただし、弓の部分にはある一つの条件がつく。これがないとまったく役に立たない兵器になるから注意しろよ。
何よ。弓の材料とか?
いんや、簡単な事だよ。弓が威力を発揮する条件は一つ。
ベテランが使う事
それって武器として珍しい事じゃありませんよ。当り前じゃないですか。
メガネ、お前はゴルゴと呼ばれるほど銃がうまいんだろ。
訓練期間は?
士官学校に入学してからですから、半年くらいです。
一方の弓のベテランを生むのに必要な時間は10年以上だ。
………10か月?
10年。10年だよ。ロングボウを実戦でまともに使おうと思ったら10年以上は訓練しないと。スポーツ選手だってプロレベルだとこんなもんだろ。
弓の訓練の過程で体が奇計化して左右非対称になったりタコを通り越してコブができる。
もはやグラップラーバキの世界の住人だな。
なにそれ…真の戦士ってやつ?
まさに弓兵は真の戦士だな。
尊敬を集めていたし、待遇も良かった。
ゲーム風に言うとだな、弓使いは大器晩成型。命中率・攻撃回数などは3次職になるくらいまでレベルアップしないと殆ど実用レベル外。攻撃力も力パラメータ依存で要高レベル。
銃使いは早熟型。レベルアップに必要な経験値は弓使いの数百分の一。しかも攻撃力は武器依存のみで初期から実用範囲。
ファイアーエムブレムなら頑張って弓使いを育てそうです…。
実際の戦争じゃ兵士なんて消耗品よね…消耗と育成の事考えると銃使いで固めた方がよさそうです。
その通りだな。実際優秀なロングボウ部隊を内乱で同士討ちさせてすり減らしたりして衰退した歴史があるからな…。
どうしてそんなに時間が必要なのよ?
弓でしょ。学校の部活でもできるような武器じゃない!?
じゃあ引いてみろよ。ほれ、ロングボウ。
じゃあ…って硬っ!!何これ?弓の張りが半端じゃないじゃない。人間じゃ無理よ。
そりゃ数百メートル飛ばすんだからそれくらいパワーを出せる奴じゃないと。競技用の弓と一緒にするな。
しかも競技用の弓と違って、貫通力が必要だろ。頑丈で重いな矢を使う必要からますます必要な力が増える。
番えるだけで一苦労。そんな物を保持しながら狙いをつける。これまた大変。
何しろ曲射だろ。弓をどれだけ傾けたらどれだけ飛ぶかを体で覚えないと。当然目標までの距離も観測できないとな。
速く射ろうと思ったら、重い弓を引いて、素早く狙いをつけて撃つ。しかもそれをなんかもできる体力と精神力。
並の人間じゃないわよ…それ。
だからこそ弓の部隊は強い。百年戦争でも大活躍したわけだ。
で、でも戦争への備えは必要でしょ。大量生産すればいいじゃない。兵隊は必要なんだから。
当時の戦力の主力は傭兵。つまり必要な時にだけしか雇わない兵隊だ。
軍隊の歴史については別にやるから詳しくはやらないから今回は簡単に説明するぞ。
当時の財政は常備軍を持てるような事はなかったわけだ。だから必要な時だけ雇う傭兵を使う。金がなくなったら休戦。また傭兵が雇えるようになるまで待つ。 百年戦争とかはずっと戦争をし続けているような印象があるが、実際には休戦期間が多くてこま切れ状態。 当時の戦争が細切れだったのは財政のせいだな。
そんな状態で千も二千も常備軍を持てるのか?財政が破たんするぞ。それができたのは全盛期のローマ帝国くらいか。
戦争って本当に金の無駄遣いだわ…。
一方の銃はさっきあったように弓よりもはるかに短時間で兵を戦力化できる。
しかも銃の性能がアップするに従って最終的に弓を駆逐するにいたったわけだ。
では性能面でのパワーアップの秘訣も見ていくか。まず発射速度。根本的な事は解決できないが、ある程度は速くできる。
火薬と弾丸を一つにしてみた。ほれ、これを使ってみなさい。受け取れ。
これは…紙の筒ですか?
その中に必要量の火薬と弾が入っている。
噛みちぎって火薬をいれてから弾を装填してみろ。
あ、たしかに別々になっているよりは楽ですね。
そういえばさっきトイレに行った後、手を洗わなかったな。
!!
冗談だよ。直接噛みちぎる物が汚れていたら嫌だろう。実際これが問題になって反乱がおきた。
植民地インドで紙の防水に塗ってある油が牛の脂だという噂が流れた。ヒンドゥー教徒にとって神聖な牛を口にするなんてとんでもない話だ。 その後色々といざこざが発生して有名なセポイの乱が発生したわけだ。 歴史という奴は実に面白いな。
!?
他にもこの薬包には面白い話があるぞ。噛みちぎる事が必要だから、徴兵時の死角に虫歯がない事が求められた。
第2次世界大戦時の謀国では徴兵合格者の数が少ない事を調査したら、この時の規定がそのままになっていて、虫歯の人間が徴兵不合格になってたなんて話もあったぞ。 お役所仕事の典型だな。
虫歯で兵隊失格ですか?
もう一つの重要な要素が命中精度。これは弾道学の進歩によって大幅に向上した。
だがここまでやっても銃は弓にはなかなか勝てない。
でも習熟10年でしょ。
習熟十年のロングボウの他にも弓は形態がある。それが機械式の弓ともいえるクロスボウだ。
矢ガモのあれですか!あれはひどい話です。
クロスボウの特徴は弓を引くのと保持、解放に機構を利用する所だ。
手では引けないほど強い弓を滑車やテコで引いて、固定は金具。これだとロングボウのように、硬い弓を引きながら狙いを定めないで、両手で弓を持って狙いをつけられる。
解放も引き金でするから、手でやるようなシビアな動作が求められない。下手くそが弓を放つと、この解放時のブレが問題なる。
これはすごいです。撃つときは殆ど銃と同じです。
実際、最近のクロスボウなんかは撃つ感覚は銃と同じようなもんだな。
銃の延長みたいなもんだから訓練期間も非常に短い。誰にでも使える。
しかも威力は凶悪。プレートを簡単に抜ける貫通能力がある。
まあ手で引けないほど硬いんだから当然だな。 あまりの凶悪さに教会から何度も使用禁止令がでたくらいだ。
禁止令?誰も守らなそうね。
実際使われまくった。人間一度手に入れた便利な道具を手放すなどありえん。
ただし欠点もある。ロングボウに比べると射程が短い。
量産兵器として使うと、射程が非常に短くなる。直接照準で狙える範囲だけだ。それと装填にかかる手間が非常にでかい。
しかも強力になればなるほど装填に必要な時間と手間がふえて、小道具も増える。
動画でもかなり難儀してたわね。腰とか痛めそうだったわよ。
滑車も使ってたみたいだけどそれ自体が邪魔になるし、時間は前装式銃以上にかかってるわ。
さっき言ったプレートアーマーを簡単に貫くと言った威力を発揮するには非常に大型で装填も手間がかかる。
で、この点で原因でクロスボウは銃に負けたんだ。威力と射程で銃の方が勝っていた。
あれ、銃ってそんなに威力があったの?
いんや、銃と同じ程度の手間で使えるクロスボウだと銃の方が有利だったって事。
クロスボウは威力が強力になればなるほど装填に手間がかかる。銃なら火薬を増やせばいい。
まあいくら威力と射程があってもあんな滑車を担いで使うような兵器は役に立たんという事だ。
クロスボウは銃に駆逐されてしまったわけだ。そしてロングボウもその扱いの難しさから銃にその座を奪われる。
だが所詮はスムースボアの低命中率、装弾に手間がかかる前装式の銃だ。まだまだたいした武器じゃない。
では次回から主役になった銃が、この後より凶悪になっていく過程を見ていこうじゃないか。

 
 
 
 
 
射程距離の話が出ていたので、今回はおまけで相手との距離の測り方を少々やってみよう。 一番いいのは測定器具を使う方法だが、何時もあるとは限らないし、とっさのことには使用できない。
目視で簡単な方法は、どの距離に何があるかを覚えておくこと。
あの木までは30m、山は100、岩は200といった具合に覚えておけば簡単に相手との距離がわかる。
ただしこの方法だと自分が同じ場所にとどまっていないといけない。守りの時はいいが攻めや撤退の時には使えない。
となると最後に役に立つのは対象の大きさとなるわけだ。以下に距離と見え方について記しておく。日常でも使えるので覚えておくといいぞ。
白目が見える20m
口、目がはっきり見える50m
目が点になる100m
服装の細部がわかる200m
顔がわかる300m
頭、手の動きが分る400m
これらの基準は天候や状況によって見え方が異なるのでまあ一例程度に覚えておいてくれ。