二章 烙印

 

 

 

 夜の闇が世界を支配し、静寂を常とするところに足音が響く。祐一はいつものように夜の世界に足を踏み入れていた。

 俺はいつものように夜の校舎に来ていた。

「よお、舞!おっ、それ使ってくれてるんだな」

 俺は、舞が昨日渡した剣と義手を見てうれしくなった。

「秋子さん特製の奴だからな。10年は使えるぞ(たぶん)」

「……祐一」

 なぜか楽しい気分になっておれは話を続けた。

「なんかまた傷だらけだな。一戦やった後なんだろ。ほらっ見せてみろよ」

「なぜ…ここに居るの?」

 楽しくなさそうな表情で聞いてきた

「だっておもしろそうじゃないか。魔物なんて。ここでしか見られないからな。それに舞の手当も必要だし」

 とりあえず自分の思っていることを正直に口にしてみた。

「……来てほしくない」

「なんで?」

 当然の質問だ

「私は祐一の楽しみのために居るんじゃない。それに…」

「………」

 そう言われると何も言い返しようがない。ここに来ているのは俺の勝手なんだから。舞は続ける。

「…祐一は弱いから。弱いのは好きじゃない」

 舞が強すぎると思うのは気のせいだろうか?

「弱いのを見ていると…楽しくない」

 そう言う舞の顔は何か深くて暗い井戸の底をのぞくような目をしていた。何かイライラした物を抱えているような感じだった。

 そして舞はこの場を離れていった。俺も一人で居ても仕方がない。今日のところは帰ることにした。

 次の日、いつもと同じように夜の校舎に足を運んだ。いつもと同じように舞が居る。ケガをしてないところを見ると、まだあれはでてないらしい。

「元気か?」

 とりあえず声をかけてみる

「…………」

 返事はないが顔は『また来たのか』と言っている感じだ。

「舞、暇か?」

「…なぜ」

 舞が不思議そうな顔で聞いてくる。

「今日はこの学校で舞踏会をやっているらしい。今から行ってみないか?」

 そう今日はこの学校で年一度の舞踏会の日だ。俺は舞ならきっと似合うだろうと思っていたのだ。

「……服がない」

「大丈夫、俺が持ってきてる。さっ、行こうぜ」

 俺は半分引きずるように舞を会場に連れて行った。その途中、

「祐一、どうして服のサイズがわかった?」

「…………俺のスタンド能力だ」

 まさか見たらわかる能力があるとは言えないな。俺は黙っていた。そうこうしている間に更衣室についた。

「ほら服。剣は置いて来いよ」

 無理矢理、舞に服を渡す。そしてその間に俺も着替える。数分後、お互いに正装して顔を会わせる。そこには普段からは想像できない舞の姿があった。

「さ、行こうぜ。お姫様」

 そう言って手を引くと無言でチョップをされた。おそらくあまり馬鹿なことを言うなという意味なのだろう。怒ってるんだか、照れてるんだか。舞は感情があまり顔にでないからな。俺は素直に思ったことを口にしただけなんだが。

 会場に入るとそこはまさに別世界だった。

「踊ろう、舞」

 そう言って舞の手を引いて会場の中央にいった。そして強引に踊り始めた。

 

 踊り始めると舞の方がずっとうまく踊って、俺が足を引っ張っている有様だ。やはり運動神経の差が大きいんだろうな。

「祐一」

 そんなことを考えていると舞が話しかけてきた。舞の方から話しかけてくるなんて珍しい。いい雰囲気だしお礼でもしてくれるのかも

「…早く切り上げたほうがいい」

 いきなりこれかい…

「いきなりなんだよ、楽しくないのか?せっかく楽しんでるのに。俺は舞に楽しんでもらおうと思ってここに来たんだぞ」

「私は祐一のためにいっている。私は悪霊に取り憑かれている。団体で」

 悪霊?いつものあれのことか。

「前から聞こうと思ってたけど、なんで舞はあんなのと戦っているんだ?っていうかなんであんなのが寄ってくるんだ」

「……烙印……これが呼び寄せる」

「烙印が…」

 そう言ったとき、舞が首から血を流しているのに気がついた。

「おい、舞。ケガしてるのか」

 すると舞が首筋に手をやって血を確認する。

「何じゃこりゃあー」

「……」

 俺のボケに舞が無言でツッコミをいれる。

「来た…祐一は逃げたほうがいい」

 きた?あいつらのことか?どこにでもでるのか?だったらまずいぞ。こんなに人が多いところじゃパニックになる。いや下手したら死人がでるかも。

「舞!場所を変えるぞ」

「もう…遅い」

 気がつくと周りには化け物が現れ始めていた。そして舞が居ないのにも気がついた。化け物に気を取られている間に消えたのか?そして周りの人々がパニックになって逃げ始めた。見るとすでにケガしている人もいる。まずいぞこのままじゃ、何とかしないと。そう思っても俺には何もできない、舞の言うとおりだ。おれは弱い。そうしている間に俺も奴らに囲まれていた。覚悟を決めた瞬間、奴らが剣で薙ぎ払われる。

「舞」

 舞は剣を取りに行ってたのか。 

「だから来るなと言った。早く逃げろ」

「舞、逃げよう」

「一人で…いけば」

「何言ってるんだ、無茶だ!なところじゃ分が悪いぞ、殺されるぞ」

「……いつものこと」

 そう言って奴らに向かって剣を降り始めた。30分後、舞は奴らをすべて始末し終えた。

「……」

 舞は無言であたりを見つめている。その先にはケガをしている人たちがいる。その表情は暗い。

「舞のせいじゃない。俺のせいだ」

「……そう…その通り」

 舞の顔は笑っている

「かってに周りが巻き込まれただけ。ケガしたのも強くないからだ。そんなことを気にしていたらどこにもいけない」

「舞……もうそんな事止めたらどうだ」

「祐一のくれた剣が有る。私はあと10年は戦える」

 ま、舞の後ろに何かが見える。この台詞は…。

「これはいいものだ」

「……あきれて物もいえん」