プロローグ
”律”……
”神の手”が存在するのだろうか?
少なくとも 人は
自らの意志さえ自由にはできない
俺が舞と最後に会ったあの日からもう1週間もたつ。あの日。香里を倒した舞はジョーとの試合が終わった力石のように倒れこみ(真っ白にはならなかったけど)俺が病院へと運ぶ羽目になった。
全治2週間の怪我と診断され会うこともできない。いったい舞が叫んだあの佐祐理って奴とは何者なのだろう?いったい舞はどんな過去を持っているんだろうか?しかし舞は聞いても何も答えてはくれない。
「知りたいんですか?」
そこには秋子さんが立っていた。いつの間に後ろを取ったってんだ。それに心を読むとは…ダービー弟か?…いやダービー弟はYES・NOでしか心が読めないから無理だな。
「俺の後ろに立つな」
しかしそんな事は表に出さずGのように苦情を投げかける。顔も劇画風にしてしまった。
「そんな事はいいじゃないですか。それよりも舞さんの過去が知りたいんでしょ」
秋子さんは舞の過去を知っているのか?まあ変人同士だから不思議ではないか。
「教えてくれるんですか?」
「もちろんです。でも女性の過去を知りたがるなんてあまりいいことじゃないですね」
…そっちが話し振ったんだろうが。
「では始めますね」
秋子さんがそう言うと空間にスクリーンが現れた…ってちょっと待て。
「何じゃこりゃー」
「五月蝿いですよ」
秋子さんは平然としている。この技は前巻ゴッド・フィンガーが使ったものだろうが。
「ゴッド・ハンドですよ」
「そんな事どうでもいいです。それよりこれはいったい」
「即死にしたっかたら動かないでくださいね」
「え?その台詞は」
その瞬間俺は派手に吹っ飛ばされた。またマイナーなネタで と言う暇もなかった…。
「うわらば」
「私に口答えするなんて五十六億七千万年早いですよ」
吹き飛ばされた俺は次にすべき行動を考えていた。
@相沢祐一 再起不能(リタイヤ)
A親父にだってぶたれたこと無いのに
Bおまえのパンチをくらって倒れなかったのは、俺が初めてだぜ、と強がる
C逃げるんだよォォォーッとジョジョ風に駆け出す
D時計台にエメラルド・スプラッシュを打ち込む
…どれもろくなもんじゃねー。Dにいたっては死んでしまう。
「もう嫌だこんな話」
俺は思わずそう叫ぶ。このままこのサークルの本に出つづけると俺は悲惨なことになる。
「仕方ないですね…フフフひとつチャンスをあげましょう」
そう言うといきなり場所が階段に変わった。チクショウ、もうやってられっか!
「その階段を2段おりて下さい。再びこのサークルの本に出してあげましょう。逆に辞めたいなら足をあげて階段をのぼってください」
「……………」
俺は腹をくくった。
「俺はこのサークルの本に出た時心の奥底でこの本の作者の恐怖の呪縛と巨大な悪に屈した。あのとき俺は「色物」としての人生を歩みはじめたわけだ。死よりも恐ろしい、色物だけの人生なんて」
そう言うと秋子さんはニヤリと微笑みこういった。
「本当にそうですか?ならば…階段を登るといいです」
俺は階段を1歩上に踏み出した。
「そうですかそうですか階段を降りましたね。このサークルの本に出たいというわけですね」
…な……なんだ…?おれは…階段を…1歩!確かに!なのに何で降りてるんだ?
「どうしました?動揺していますね祐一さん。動揺する、それは迷っているということではないんですか」
それは間違いなくない…と思う。
「それとも「色物から手を引きたい」と心では思っていても、あまりに色物歴が長いので無意識のうちに逆に体は降りていたといったところですか」
「…………」
そ、そんな事は…。
「2人とも何ジョジョネタで盛り上がってるの?」
「名雪」
そこには名雪が来ていた。助かった。
「いや秋子さんがネタ振ってきたんだ」
「そうなんだ」
「だいたい舞の過去を書くんだったら俺が出る必要ないじゃん」
そういった瞬間またもや俺は吹き飛ばされた。
「げぴ」
「祐一、げぴはトラが北斗神拳くらった時の台詞だよ」
他に気にすることがあんだろうが。だいたい何でトラに北斗神拳が効くんだよ?
「秋子さん。いったい何を?2度もぶったな」
「あなたがいなかったら状況解説役がいなくなるじゃないですか」
俺ってそんな為にこんな事されてんのかよ。
「お母さんの言うとおりだよ」
名雪まで。どうせ俺は南斗水鳥拳のレイみたいなもんだよ。状況解説役ばかりやらされていいとこみんな持ってかれんだ。
「だったらこんな事(攻撃)は止めてくださいよ。俺が死んだら困るんでしょうが。もし俺がアイスの蓋ですべって頭を打ったり、タイヤキをのどに詰まらせたり、肉まんの袋のパン!と割れる音で心臓マヒで死んだとしても………困るのは秋子さんじゃないんですか?」
「祐一またジョジョやってるよー。それにしてもダービー弟ネタが好きだね」
そんな事はどうでもいいんだ名雪。俺の命がかかってるんだからな。
「名雪、神武了は国崎住人に似ていると思いませんか?」
「話をそらさないでください」
いや俺もそう思うけど。
「私は時期的に国崎住人が神武了に似てるんだと思うよ」
…この会話が解る人…何人いるんだろう…?
「まあいいじゃないですかそんなこと。祐一さんがこの本に出ることも決まったのですし、本編に入りましょうか」
…もう…あきらめた…階段も降りちまったし…。
「じゃあ初めます」
こうして俺は名雪と舞の過去をみることになった。しかし俺も色物歴長いな…。