邂逅
秋子さんの説明は当然のように舞が生まれたところから始まり、そこから延々とカノンの原作どうりに進んでいった。よって俺が説明する事は何も無い。
「祐一。それは手抜きだよー」
そういわれてもな。
「五月蝿いぞ名雪。いまさらこんなカノンファンなら誰でも知っているような基本的な事を俺が説明しても仕方ないだろ。この本はそういう事を目的鍍してないんだ、ページの無駄使いだろうが」
まったくそんな事も理解してないのか。だいたい説明する事が増えたら俺の身もそれだけ多く危険にさらされるだろうが。
「とにかくカノンの設定資料でも読んでろ」
それが一番わかりやすい。
「あの本は供給過剰だと思うな」
「言うな」
付け加えるなら他にも大量に出ている本もだ。
そして映像は幼き日の舞が俺と別れた…というより一方的に俺が別れたところまでさしかかった。
「祐一は昔から人を困らせたり、悲しめたりしてたんだね…私以外にも…。他にもたたけば埃が出るかもね」
う…それを言われると…何も言い返せない。
「認めたくないものだな…若さゆえの過ちというものは」
そう…これが…若さだ…。
「そうやって祐一は普通の人の約3倍人を困らせてきたんだね。…きっと心の中は赤いんだと思うな」
名雪このあたりで止めとかないと話が進むまんぞ。まあネタ的には悪くないとは思うが…
それとこれでは話が別だ。
そして場面はうつり変わった。新たに映し出された映像は…。
「…秋子さん」
俺は何かを訴えるような目で秋子さんを見つめながら言った。そこには普通なら考えられないような物が映し出されていたからだ。
「何ですか?」
普通は解ってくれるだろう…今の俺が何を聞きたいかくらい。仕方ないので口に出していうことにした。
「ここに映っていることは秋子さんの創作ですよね」
そう…そこには普通なら考えられないような光景…中世ヨーロッパもような戦争の光景が広がっていたからだ…もっと分かりやすく言うならデルフィニア戦記そのまんまの光景。いくらこの話が設定いい加減でもこれはないだろう。あたり一面とても絵には書けないようなグロイ死体が転がっている。
「祐一…デルフィニア戦記はわかりやすくないと思うよー」
…いいんだよ好きなんだから。きっと一人くらいはわかってくれるはずだ。おそらく…いや、多分。
…なんか名雪の突き刺さるような視線を感じるな。仕方ない…この本にもっとふさわしいたとえをするか。
「鬼畜王ランスのような光景だな」
あれはいいものだ。
「それなら分かりやすいよー」
まあアリスソフトは有名だからな。
「祐一さんは知らないことでしょうけど…。じつはこの日本には戦いの聖地と呼ばれる場所があり、そこではこの様な戦いが繰り広げられているんですよ」
んな無茶苦茶な。見ろ、人がゴミのようだーって光景が実際に起こっているなんていくらなんでも日本では…。
「何でそんなことしているんですか?おい名雪も何か言うことないのか。いくら何でも言うことがあるだろツッコミ以外に」
名雪はさっきから何もしゃべらない。いくら名雪が鈍感で抜けてるところがあるとしてもこんな物見たら何か言うことがあるだろうに。
「祐一、さっき考えていた台詞はムスカだったねろべばー。いたいよー、祐一いきなり殴るなんてひどいよー」
「やかましい!人の心にまで反応するな。しかも律儀に北斗風に叫びやがって。いいから俺の最初の質問に答えろ」
「うー。今はもう蒼天の拳だよー」
「変わらねーよ」
頭が痛くなってきた。いちいち北斗ネタは使うな。いくらまた北斗の拳が復活したからって。
「で…質問に答えてもらおうか」
しかし名雪とのやり取りは安全を感じていいな。ほかの奴だったらこうは行かないんだろうな。
「だって私このこと知ってたもん」
…もんはよせ。ただでさえ食い逃げ常習犯がつかってるってのに…。
「知っているってどういうことだ?」
「私が説明しましょうか?」
「秋子さん」
秋子さんが乗り出してくる。なんかこの人の口からはあまり聞きたくないな。いろんな意味で。危険を感じるし。
「お願いします」
ここで断って名雪に頼みたいが、もし断ったら…。即死にだな。
「よろしい。ご説明しましょう」
な…なぜ海原雄山風。…キャラ的に似てないことも無いか。
「さっきも言ったとうりこの日本には戦いの聖地といわれる場所があります。そしてそこでは数年間隔で…戦って戦って戦い合わせそして最後まで勝ち抜いたものが勝者としての栄光を手に入れるのです」
なんかどっかで聞いたことのある話だな。
「で、何で名雪はそんなことを知っているんだ」
「私もそこにいたことがあるからだよ」
やっぱりこいつも普通じゃなかったか。
「…そうか…でなんでデルフィニア風の戦場なんですか」
みんな甲冑身に付けて剣で斬りあってるよ。
「鬼畜王ランスだよー」
細かいこと五月蝿い奴だ。
「戦士は剣やコブシで戦ったほうが盛り上がるでしょ」
まあ絵的にはそのほうが…。
「しかし殺しあっていいんですか。ガンダムファイトだってコクピットへの攻撃は禁止されていたのに」
「まあバトルロワイヤルみたいなものですね」
「そ…そうですか」
そんな事で簡単に殺しを認めていいのか…。
「で、舞はあれからその戦いの聖地に渡ったわけですか」
「はい、傷心を心に抱えて」
「うっ」
ぜんぶ俺が原因なのね。
「…わかりました」
話を聞き終えた俺は画面に目を戻した。そこには戦場で一人の男が斧を振るっていた、周りの雑兵を簡単になぎ払っている。
「北川だー」
「触角の騎士北川…」
「北川って、あの30人斬りの北川…」
雑兵が騒いでいる。有名らしいな。
しかし北川ってあの北川か。しかし触角の騎士って…。あの頭の他に何か特徴は…ないか、まあ仕方ないな、北川じゃな。
「ここから先は誰も通さないぜ」
北川の奴ずいぶんのってるな。初めての台詞のある役だからな。
そして雑兵が騒いでる中から一人の剣士が前に出てきた。それは…。
「舞…」
そこにいたのは舞だった。
「小娘…貴様が北川を倒すと言うのか」
「幾ら?」
「はい?」
いきなり金の話かよ、舞。
「違う。この調子に乗ってる脇役のことだ。30人切りのなんたらなんでしょう。私は傭兵だ…金払え」
舞は傭兵やってんの。しかしもっと言葉を選べよ。
「よかろう金貨5枚を払おう」
「分かった」
通貨の単位が金貨かよ。もう完璧に日本じゃねーな。
「ふふふ…後悔するぞ。金貨5枚で俺に殺されるんだからな」
うわ、北川の奴ノリノリだよ。よほど嬉しいんだろうな。台詞の言い方が花京院ぽかったしな。
「即死にしたけりゃ動くなよォ!!」
きめ台詞と共に斧を振り下ろす。北川せっかくの見せ場なんだからもっとみんなが分かるようなネタ使えばいいのに。
だから脇役なんだよ。
「…見える」
そういって舞は簡単に斧をかわす。舞はちゃんと分かりやすいネタだ。そして剣を北川に打ち込む。
「動くなって言ったろうォーがァァァ!!即死にそこなったなァーおい」
初剣北川の斧に防がれたがそのまま何度も反撃の暇を与えずに打ち続ける。その一太刀一太刀は速く重いのが素人の俺でも簡単にわかる。
「速い」
「みろ北島が押されてるぞ」
「俺は北川だ」
声をあげる雑兵文句をいう。哀れな奴だな北川。
「ちょうしこいてんじゃね――ぞ、こら―」
そして北川が無理やり反撃の一撃を繰り出した。しかしその一撃は剣に阻まれ逆に自分の斧に亀裂が走った。
舞はそのまま北川に剣を振る。しかし同時に北川も斧を振る。斧は舞の剣より早く舞に触れたが舞のかぶとに阻まれそのまま亀裂のせいで斧が砕ける。
「何――」
そして舞の剣が北川を切り裂く。まだ生きている北川に向かってとどめの一撃を繰り出そうとする。
「待ってくれー。やっと出番ができたのに」
ますます哀れだ。なんかこの落差はムスカを思い出させるな。
「豚の様な悲鳴をあげろ」
またこのネタかよ。だからキャラ違うって。
そして北川はそのまま止めを刺された。
「うわ。ザックリ」
名雪が声をあげるが全然驚いてもいない。
そしてそのまま戦いは続き舞の属する陣営が城を落とした。
舞はそのまま傭兵としての報酬をえて陣営を去っていった。どうも舞はフリーランスの傭兵らしい。
そして舞は当ても無く辺りをさまよっていた。そしてその舞を見つめる集団があった。たしかこいつらはあの城にいた奴らだ。
「おい!あいつ北川をやった奴だ。どうする?」
「どうする?」
「あいつ懐は温かいわよ。北川をやった報奨金持ってるから」
何か物騒な雰囲気だ。
「どうする佐祐理」
…佐祐理…これがあの舞の敵の…。
「……好きにしてください」
そういわれて連中は数人で舞を襲いに行こうとした
「はっ」
「何よ?なに笑ってるのよ祐一」
そこで俺は信じられないものを見た。そこにいたのは…俺だった。
どういうことだ?なぜ俺が?
「あ、祐一だ」
人の気も知らずこいつはのんきなものだ。
「秋子さんどうして俺が?」
「祐一さんは忘れているでしょうけど。あなたは7年前この町を去ったあとこの戦場に足を運んたんですよ。舞さんと同じですね運命に裏切られた人はこの地に足を運ぶんでしょうね」
どういうことだ?なぜ俺は何も覚えてないんだ。
「見ていればそのうちわかります」
そういったあと秋子さんは何も答えてはくれなかった。自分のめ確かめるしかないということか。
「お前じゃあいつはやれないぞ真琴…」
真琴が初登場だ。性格的にあってる配役だ。
「うるさいわね。見てなさい」
「死ぬぞ」
そういわれて真琴は少しびびった様に見えたがそのまま馬に向かっていった。
「まったく真琴は。いいんですか真琴をほっておいて?」
一人がそういったが佐祐理は黙ったままだった。
そして舞は襲い掛かってきた真琴とその他数名を撃退した。一人は殺され一人は足をぶった切られた。
真琴は無傷だったがびびって手が出せないでいた。まるでディオを前にした初期の花京院のようだ。
「祐一さん。真琴を助けてください」
「何で俺が。真琴が勝手に」
佐祐理がそれを見て俺に対してそういった。どうもそこでも俺は立場が弱いらしい…今と同じで。
そして画面の中の俺は舞に向かって突進していった。
「祐一。何で来たのよ?」
「佐祐理さんの命令だ。下がってろ」
「何よ偉そうに」
真琴が強がって文句を言うが、このまま続けていたら真琴は間違いなくモヒカンキャラのようにあっけなくやられていただろう。
それが分かっていたのか真琴はそれ以上何も言わなかった。
そして俺と舞とが再び剣で斬り合いを始めた。最初は互角だったが舞がスタープラチナのプッツンオラ並の速度で剣を繰り出し、次第に俺が追い込まれていった。俺も無駄無駄並で対抗していたようだがそれも虚しく、とどめの一撃が今まさに繰り出され用としていた。
しかしその瞬間2人の間をさえぎるように何かが飛んできた。それは一本の槍だった。
「佐祐理さん!!」
そこにいたのは佐祐理だった。
「佐祐理さん気をつけて!こいつ手強い」
俺が叫ぶ。
「剣を引いてくれませんか?」
佐祐理がそう言ったが舞は剣を逆に握りなおして臨戦体制にはいった。今にも斬りかかりそうだ。
「駄目ですか…」
その瞬間、が舞が動いた一気間合いを詰めてに剣を振りかざす。
「な…」
しかし佐祐理は簡単にその一撃を受け止め逆に舞の胸に剣を突き刺した。そしてそのまま舞はジョーのように崩れ去った。
「な…なんて早さだ」
俺は思わずそうつぶやいた。重度のアリスソフトユーザーが冒頭部をやっただけで誰がシナリオを担当しているか理解するように感じて分かった…佐祐理は間違いなく剣に関してマジに達人だ。
「祐一またジョジョだよー」
ジョジョで何が悪い。
「やかましい」
名雪がいちいち人の心に反応してくる。
「うー祐一ばっかり、だったら私もジョジョネタやるよ。川澄・舞再起不能(リタイヤ)だよ」
なんだジョジョネタやりたかったのかよ。
「…勝手に言ってろ」
舞が倒れてから他の仲間達がやって来た。なんだか怪獣を倒した後にやってくる諸星ダン隊員みたいだ。
「さすが佐祐理さん」
「はは、佐祐理とやりあおうなんて馬鹿みたい」
「真琴…誰のせいで佐祐理さんが体はってると思ってんだ?」
「あうー私が悪かったわよ」
「フン」
そんなこと言い合っている中で舞が再び立ち上がった。信じられん名雪の言い草じゃないが、再起不能かと思っていた。
「こいつ…まるでゾンビだな」
「祐一さん、下がってください」
そして舞と佐祐理はディオと承太…ジョジョネタは名雪がうるさいから止すか。ラオウとケンシロウの様ににらみ合ったがそのまま舞は崩れ落ちた。
舞が動かなくなったのを確認してから佐祐理は身に付けていた兜を取った。中からは美しい女性の顔があらわれた。
…しかし…リボンつけたまま兜かぶるか?
「祐一、リボン取ったら人物の区別ができなくなるよ」
納得。あえて言うなら…やめとこう。今になって始まったことではないからな…この問題は…。
「そういえば祐一。原作じゃホモシーンがあったけど、この本じゃレズシーンはないのかな」
「この本は18禁じゃないいんだよ」
「残念」
「何いってんだか」
「でも祐一は北川君とやおいをするんだよねー」
何てこと言いやがる。
「やるか!誰がそんな事言ってたんだ?」
「栞ちゃんが嬉しそうに話しまわってたよー」
「あいつ…」
そうこう言っているまた場面が移り変わった。そこはテントの中で舞が目を覚ましたところだった。
舞が外に出るとそこは多くの兵隊が生活をしていた。そしてその中に俺がいた。舞を確認した俺は近づいていき、いきなり一拳を食らわせた。
「うっ」
その一撃がよほど効いたのか舞はそのまま倒れこんだ。
「今の効果は…無空波か!」
「誰だって傷口叩かれたああなるよー」
「じゃあ虎砲」
「関係ないよー」
つまらない奴だ。
「今ので目が覚めましたか?」
そういって今度は佐祐理が近づいてきた。
「私は佐祐理です。あなたの名前は?」
「……舞…」
すると佐祐理が舞の剣を持ち主に渡した。
「すごい剣ですね。佐祐理には振れません」
「……」
「いっしょに来てくれませんか」
そう言って2人は別の場所に歩いていった。
そして残された者たちが話し合っていた。
「佐祐理はどういうつもりなのよ。あんなやつ助けて」
これは真琴だ。
「仲間にするつもりじゃないですか」
「え?」
「だってあの人とっても強かったですよ。まるでザクを簡単に蹴散らすガンダムのようでした」
蹴散らされた本人の前でそんな事言うなよ…。
「ふざけないでよ栞。あいつは○○の足をおとして○○をやっているのよ」
○○は人名である。脇役以下に名前はいらん。
「足なんて飾りにすぎませんよ」
栞…それは別のやつだ。
そして再び舞と佐祐理が会話をしている。
「いったい何…この連中は?」
「……鷹の団です」
「……」
その名を聞いた瞬間舞の表情が変わった。なんかホワイトスネークの名を聞いたジョリーンみたいだ。
「知っていますか?」
「…噂だけ…」
そう言っている間に丘の上にたどり着いた。
「いい眺めですねー」
「なぜ私を生かした?殺せたはず」
「……」
そう言われて佐祐理の表情もかわる。シリアスシーン突入の気配だ。
「あなたが欲しいと思ったからです…舞」
「……百合はいやだ」
「……」
なんでそんな事知ってるんだよ舞。ちなみに百合の反対は薔薇だ。知らない奴は知らなくていい。
「あなたが北川さんと戦っているところを見ました。すごかったです」
「……」
「でも舞はまるで自分の命を試しているように見えます」
「……」
「舞は面白いです。舞が気に入りました」
俺が言うことがないほどシリアスだ。
「あなたが欲しいんです。舞」
「……いやだと言ったら?」
「いやですか」
「ぽんぽこたぬきさん」
あー、せっかくのシリアスが。
「最初に仕掛けたのはそっち…。それに私は仲間を一人殺して足も奪った」
「あははー足なんて飾りですよ」
死んだ奴はいいのかよ?
「私たちは敵同士…」
「じゃあ…どうするんですか?」
すると舞が剣を構える。
「剣で勝ったほうが相手を好きにする」
なんかこれは少年誌系のノリだな。
「解りました」
佐祐理も剣を構える。
「力ずくっていうのも…嫌いじゃないです」
「佐祐理さん」
見るとそこに俺がいた。
「祐一さん手を出さないでください」
「だけど…!」
「佐祐理は欲しいものは絶対手に入れます」
絶対に負けないと言っているわけか。
「そのふざけた態度が…おもいっきりすきじゃない」
そう言って舞は佐祐理に剣を振りかざした。