ト・イ・レ
トイレトイレトイレ!
今にも漏れそうだ。急がないと!
「ん…」
トイレから真琴が出てくるところだった。
「助かった。長引かれたら、大変だった」
そう言うと、何かを思い出したように含み笑いを漏らした。
「なんだ、不気味な奴だな…」
「急いでるんでしょ。早く入ってくれば?」
「言われなくてもそうするよ」
そのまますれ違い、俺はトイレへと向かった。
「なっ……」
トイレの中には……大量のエロ本が……。
「なんじゃこりゃー!!」
「ど、どうしたの祐一?」
…今の叫びで名雪がきてしまった…。まずい…。
もしもこの光景を見られたら。
「信じられない!そんなところでそんなものを……」
「見損ないましたよ、祐一さん」
「こ、これは誤解だ!やるなら部屋で!」
「…不潔だよ」
ってなことに…。
「何があったの祐一!?」
………どうしよう。
そうだ!戸棚に隠そう………。
………開かない!!針金で縛ってある……。道具も無い。
あのアマ!こんな時に限って妙に用意周到だ!いつもは底抜けの馬鹿のくせに!
もうこうなったら篭城しかない!(根本的な解決にはならないぞ)
「お母さん!C4で扉を壊そうよ」
「駄目よ名雪。そんな事したら中の祐一さんまで壊れるでしょ」
「でも…中で祐一が大変なことになってるかも…」
「いい名雪。こういう時には必要以上破壊しない物を使うのよ」
「ショットガンで蝶番を壊すの?」
「残念だけどショットガンは手元に無いの。コレを使うのよ」
「なにそれ?」
「成型炸薬(HEAT)弾よ。対戦車榴弾とも言うわね。円柱状の火薬の先端を円錐状にくり抜いてそこに金属を貼り付ける。これを反対側から起爆させると金属がジェット流となって目標物にせまり、運動エネルギーによって目標を破壊するのよ。これをノイマン効果というの」
「すごいね。質量と速度じゃなくて化学エネルギーで装甲を破壊するんだね」
「この兵器を最初に使ったのは第二次世界大戦のドイツで、最大の戦車戦といわれるクルスク戦で使用記録があるわ」
「そうなんだ。随分古くからある兵器なんだね」
「そうよ。だから近年では対策も進んでいるの。爆発性反応装甲(リアクティブアーマー)や複合装甲(チョバムアーマー)などがあるわね」
「あ、ベトナム戦争でアメリカ軍が戦車にくっ付けていた奴だね」
「それはりアクティブアーマーね。戦争映画なんかにはよく登場しているからすぐにわかるでしょ。複合装甲の方は戦車の装甲に最初から組み込まれているのが普通ね。これに対抗するためにロケットに成型炸薬を乗せるのでなく速度と質量で敵を破壊することに戻ってKEMや…」
な、なんでドアの奥で兵器解説してるんだ!
それから兵器解説が10分ほど続いた後…ドアノブは見るも無残な姿に変化した。
最初からセレクト押して降伏すればよかった…。