警備のお仕事

 

 バイト情報誌を片手に、このゲノム兵以下の知恵しかない真琴でもできる仕事を探していた。

 一応拾ってきた俺としては、こいつが無為徒食の立場に甘んじているのに何もしないわけにはいかない。

 そこに秋子さんがやってきたわけだ。

「なに見てるの?」

「アルバイト情報誌ですよ」

「誰がアルバイト始めるの?」

「祐一」

「おまえだろっ!」

「あぅ…」

「え?真琴がアルバイトするの?」

「ええ。ただ遊んでるだけじゃ申し訳ないからって」

「そんなこと一言も言ってないんだけど…」

「じゃ、わたしの知り合いに紹介してもらいましょうか?」

「そりゃ、ちょうどよかったです。どんなお仕事ですか?」

 真琴の呟きを余所に、話は進展してゆく。

「警備をやっていて、いつでも人手が足りないそうなの」

「警備…」

 俺はその仕事内容を思い浮かべながら、真琴の顔に視線を移す。

「あぅ…」

 どう考えても、警備をするよりも、警備員に捕まりそうな立場である…。

「ただ歩き回るだけだから誰だってできるし。それに隊長はわたしの友達だから、何かあっても安心だし」

 名案とばかりに秋子さんは両手を合わせている。

 ん?隊長?

「できるかな、真琴に…」

「できるできる。わたしが保証してあげる」

 秋子さんに丸め込まれるようにして、真琴も首を縦に振ることになる。

 それは秋子さんの人柄によるところだ。

 強引だけども、決して相手を不安にさせない。

 その口振りは、はたで聞いていても一緒に落ち着いてしまうほどだった。

 年の功というのか、俺もこのぐらいになれば、真琴に馬鹿にされずに済むんだろうな、なんてことを思う。

 まあ潜入任務にそんなモノは不要だが。話術は女を口説けるだけで充分だ。

「ところで、どこを警備するですか?」

「海上にある、重油除去施設ですよ」

 ………。

「もしかして秋子さんの友達って…

 立派なヒゲを生やした初老の男性じゃないですか?」

「そうですよ」

「あの…日本語通じるんですか?ロシア語か英語が話せないと困るんじゃ?」

「大丈夫ですよ。彼、日本贔屓ですから」

 …間違いない。奴だ。パワードスーツなんて着てるくせに日本刀大好きな奴だ。

 真琴…生きて帰れないかも。

 俺に出来ることは侵入者が麻酔銃で襲ってくるように祈ることだけだった…。

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