教育方針
「本当、もう家族の一員ね」
その姿が角の向こうに消えてから、名雪が口を開く。
「そうだな。どんな心変わりからか、最近は言うこともよく聞くし。いい感じだよな」
「はぁ…祐一は呑気だよね」
「なんだよ、いきなり」
「祐一は知らないだろうけど、お母さん、いろいろと奔走してくれたんだよ」
「なんのことだよ」
「ほら、なぁんにもわかってない」
「悪かったな。で、なんだって?」
俺は先を急がせた。
「あの子のね、親御さんをずっと探してるの」
「え…?真琴のか?」
「うん。軍の情報部も、当たってくれてる」
秋子さん…軍にコネがあるのか…。
「でも見つからないんだって。捜索願も出てないみたい。元からそういう家庭の子なのかもしれないね…」
名雪が目を伏せた。重苦しい息を吐く。
「でもねっ」
ぱっと、俺に顔を向ける。
「もし見つかっても、お母さんはね、あの子に記憶がない間は、ここに置くつもりだって。そう話してくれたの
だから、私も祐一に話したんだよ」
「そうか…」
俺だけが馬鹿だったんだ。それを痛感する。
秋子さんだって、目の前にいる名雪の親だ。
その名雪が失踪するなんてこになってはきっと四六時中、そのことで心を痛めることになるだろう。
「礼を言わないとな…」
「それどころか、もう娘として向かえる準備をしているよ」
…気が早いな。
「この前だってマッチョな男が銃を持って戦う映画のDVDを買い込んでたよ」
「………………」
「ガンパウダーも今度買うんだって」
真琴の身元が一日でも早くわかりますように…。