FOX奇想天外
「よし。じゃあここは思い切り女の子らしい物で、ぬいぐるみにしよう。それもこの商店街で一番でかいぬいぐるみだ」
「わかりました」
30分経過
「俺の見つけたぬいぐるみは、これより一回りは小さいが、まちがいなくキリンとわかる代物だった。しかし…これはなんだ?」
「さぁ…」
大体、店構えからして謎で、何の店かよくわからない。
「可愛くないな…キリンにしようか」
「待たれよ」
突然すぐ背後で声がして、俺は飛び退くように後ろを振り返った。
「バルカンレイブンじゃよ」
小さなお年寄りだった。恐らくここの店主なのだろう。
「このバルカンレイブンはFOXHOUNDの一員で巨漢のシャーマンじゃ。背中に航空機用の20ガトリングガンを背負っておる。
しかもぬいぐるみに衝撃を与えると玉を発射して叫ぶんじゃ。当然防弾仕様。どうじゃな、可愛かろう?」
「今言ったセリフのどこに可愛く思える要素があるんだ?」
「そうか、残念じゃな。どのようなファンにも愛されないとは、不遇な時代にぬいぐるみとされたもんじゃ…」
「文句はこいつを作ったメーカーに言ってくれ。大体こんなただでさえでかい奴をでかいぬいぐるみで作るほうがオカシイんだ。行こうぜ、佐祐理さん。まったく…こんなもん、熱狂的な小島監督信者ぐらいしか買わんぞ」
「………!! 待って、祐一さん」
立ち去ろうとした俺を呼び止めた後、佐祐理さんは腰を低くして、背の低い店主の老人と顔を突き合わせた。
「あの、おじいさん」
「なんじゃな」
「このぬいぐるみって、小島監督の作品に出てくるMSのぬいぐるみなんですか?」
「そうじゃ」
「はぇ〜…そうだったんですかぁ」
「おい、佐祐理さん…まさか…」
「これにしましょう、祐一さんっ」
「ぐぁ…本気か、佐祐理さん」
「大丈夫ですよ。小島監督作品のぬいぐるみなら可愛がってあげられますよ。舞なら」
「ほんとかぁ?」
「絶対大丈夫です。舞もこの子も喜んでくれます」
「リモコンミサイルの的にでもされなきゃいいが」
「心優しいお嬢さんだね。半額にまけてあげるよ」
「そりゃまけすぎだろう、ジィさん」
「いや、感動させて頂いたお礼だ。もっていってくれ」
「よかったですねぇ、祐一さんっ」
「はぁ、良かったのか、悪かったのかよくわからないぞ…」
「よかったんですよっ」