「お名前は?」
天野は真琴の頭を撫でながら、再びそう繰り返した。さっきのミスターXは聞かなかったことにしたようだ。しかしどうせ今度も無理だろうな。どうせ今度も真琴じゃないんだろうな。いや、もう名前が真琴じゃなくてもいい!
「あうーっ…」
「ほら、頑張って。お名前は?」
根気よく質問を繰り返す天野。口調はずっと穏やかなままだった。俺だったらもうあきらめてるよ。
「ほら、お名前は?」
「あう………ま…」
「ま……?」
真琴が何か答えようとする。天野の努力が実をなした様だ。しかも今度はまともそうだ。真琴のまを口にしたし。
「まこと。あぅ。まことっ」
ようやくまともに挨拶ができた。…ここまでくるのに二週間かかったよ…。
「いい名前ね。真琴」
「あぅーっ」
よかった。本当によかった。この構図からして今にも天野が背中を叩きながら ポンヨウ盟友、ポンヨウ盟友 とか言いそうだ。それぐらい感動的だ。
真琴はさらに何かを言った。
「またの名を―リボルバー・オセロット!!」
…お前は山猫じゃなくて狐だろうが…。…………なんだ…その……イイセンスだ。