お名前3

「お名前は?」

天野は真琴の頭を撫でながら、再びそう繰り返した。さっきのミスターXは聞かなかったことにしたようだ。しかしどうせ今度も無理だろうな。どうせ今度も真琴じゃないんだろうな。いや、もう名前が真琴じゃなくてもいい!

「あうーっ…」

「ほら、頑張って。お名前は?」

根気よく質問を繰り返す天野。口調はずっと穏やかなままだった。俺だったらもうあきらめてるよ。

「ほら、お名前は?」

「あう………ま…」

「ま……?」

真琴が何か答えようとする。天野の努力が実をなした様だ。しかも今度はまともそうだ。真琴のまを口にしたし。

「まこと。あぅ。まことっ」

ようやくまともに挨拶ができた。…ここまでくるのに二週間かかったよ…。

「いい名前ね。真琴」

「あぅーっ」

よかった。本当によかった。この構図からして今にも天野が背中を叩きながら ポンヨウ盟友、ポンヨウ盟友 とか言いそうだ。それぐらい感動的だ。    

真琴はさらに何かを言った。

「またの名を―リボルバー・オセロット!!」

…お前は山猫じゃなくて狐だろうが…。…………なんだ…その……イイセンスだ。 

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