天の女神に仕える戦士達
最終話 裏切り者のアスラン

 

あの戦いが終わってから、もう半年が経つ。
地球はカガリ率いる宇宙統一連合が。
そしてプラントはラクスが政治を治めていることによって、なんとか動いている。

だが、未だ世界から争いは消えない。

なぜだ?

カガリやラクスやキラだって、平和のために努力しているんだぞ?

それなのに、どうして。

そう思った俺は、同僚の紹介で、ある巨大都市の図書館の主の下に相談をしに行く事となった。

図書館の主は分厚い本を読みながら俺にこう言った。

「で、プラントの将軍様であるアスラン様が、いち図書館館長である俺に何の相談かな?」

俺は図書館の主に言った。

「俺達は、当時のプラント議長、ギルバートデュランダルが行おうとしていた死の計画
『デスティニープラン』を止めようとしました。
結果はあなたも分かるとおり、メサイアは崩壊し、世界は少しづつですが、平和に向かってきています。
しかし、世界からまだ争いの種は消えておりません。
一体どうすればいいのでしょうか?」

図書館の主は、俺の話を一通り聴くと、栞を分厚い本のページとページの間に挟み、バンと本を閉じて
俺に言った。

「一体どうすればいいかだって?
その「どうすればいいか」を考えずに、アスラン様と、アスラン様の友達と、
そしてアスラン様の元フィアンセの歌姫兼現プラント議長様はデュランダルに喧嘩を売ったというわけだ」
「?」

図書館の主の言ったことが分からなかった俺は、「どういうことですか?」と、図書館の主に訊いた。
図書館の主はため息をつくと、呆れた顔で俺にこう言った。

「俺はね、別にあなた方がどんな理由で世界を導こうと、文句は言わない。
けどね、どんな世界を作るかを全く考えずにデュランダルを殺して、
そして、いざ困ったら見ず知らずの賢人に助けを求めるなんてーのは、
ちっと都合が良すぎるんじゃないんですか?」

図書館の主はそう言うと、分厚い本をまた開いて、話を続けた。

「『大人のやることが気に食わなかったら、逆らう』
これに異を唱える連中が大勢いるけど、
大人の世界から見れば、別にこのやり方が間違っているというわけじゃない。
大人のやり方が気に入らないなら逆らってもいい、逆らうだけの実力があれば。
革命とかクーデターだって、規定のルールに逆らって達成されるわけだし。
あなた方はそれだけの実力があったから、あの行為が許されたんだ。
大衆文学でいうならば中国の「水滸伝」がそのいい例だ。
普通の一般兵が民主的な手続きを取って、世界を変えていくというのは、かなりの時間が必要だし、
そんな気の遠くなるようなことをするよりも、クーデターの方がいいのは当然だ。
大人の世界は実力がモノをいう世界。
力があればどんな我儘だって許される。
それに見合う力があれば、国家を転覆させて法律を自由に作る事だって許されるのさ」

俺は黙って図書館の主の話を聴いた。
図書館の主は更に話を続ける。

「よく親や教師が『ルールを守りましょう』というのは、
大した実力も無いのに無謀なガキが身の程知らずのことをおっ始めて
あえなく自滅するのを防ぐためのタガに過ぎない。
このルールは大人の身を守るためではなく、ガキが自滅から守るためにある。
でも、あなた方はルールを破っても自滅はしなかった。
つまり、あなた方はデュランダルに喧嘩を売って勝利したその時から、
世界を自然と背負う役目を担ったのさ」

図書館の主はそう言うと、俺に指を指して、

「争いの種が消えないのなら、あなた方の力でその種を踏み潰してやればいい!
民衆が自分達の言うことに逆らうのなら、無理やりにでも従わせればいい!!
あなた方には、それをするだけの力があるのですから!!」

と叫んで言った。
しかし、と俺は図書館の主に言った。

「ですが、それでは人々から独裁者と言われるのでは」

俺が話している途中で、図書館の主は荒々しい口調で言った。

「独裁者?それがなんだっていうんだよ!?
政治経済なんてのは、世界中の独裁者が集まって機能している組織だ!!
独裁者のレッテルを貼られるのが怖いんだったら、今すぐ軍職を辞めて、
一般市民として生活してやがれ!!」

俺は何も言い返せなかった。
図書館の主の言うとおりだ。
俺は二度もプラントに反逆をしたんだ。
今更失うものなんて何も無いじゃないか。
そうか、今までの俺は、周りの目や面子を気にしていただけの、
究極の小心者だったのだ。

図書館の主は一息つくと、俺にこう言った。

「たとえあなた方が「独裁者」だの「自己中心」と呼ばれようとも、
別にあなた方の価値が下がるわけでもない。
むしろ、そんな薄汚れたことをほざいている連中の価値が下がるだけです。

もっと自分に自身を持て!

俺が言いたいのはそれだけさ」

彼の話を聴いた俺は、彼に頭を下げて、

「相談にのってくれて、ありがとうございます」

と言った。

「いえいえ、俺は言いたいことを言っただけですよ」

と、図書館の主は俺に言った。


***


俺は図書館を後にして、無事軍部に戻ると、さっそくアフガニスタンの紛争を止めに向かった。

俺達は世界を動かすだけの権力を持っている。

例え後ろ指を刺されようとも、俺達はこの生き方を貫いていく!!

そう、全ては世界の平和の為に!!!!

この戦いは?

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