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第一話「遭遇-Necessity-」
絶対虚無。
まさに、そう体言すべき空間だ。
その中で私、ラミアン=サークスはエターナル級2番艦"トゥルー"の試運転を行い、本日ついに本国プラントに帰還することになった。
クルーは疲労の色こそ濃かったが、終戦への喜びは滲み出ていたと、先ほどの巡回の時に感じた。
格納庫もすっかり寂しくなっていた。
当初は6機あった機体も、今ではたったの2機となっていた。
残った機体も損傷が激しく、とても今戦闘に耐えられそうな状態になかった。
片方は胴体のみも同然の損傷であり、もう片方も片腕、片足という井出達であった。
頭部も無残なもので、その特殊な意匠であっただろうダブルツインアンテナの片側の一部が、おぼろげに根元を残すのみであった。
私はそこで感じた。
ああ、彼らも、これでゆっくり休めるのだな、と。
彼らは立派に任務を果たした。
搭乗者2名は最後の作戦、これだけの損傷を受けて尚無事に帰還させた。
作戦目標も達成し、戦争も終わった。
彼らにもはや、陽があたることもあるまい。
ならば彼らは眠れるはずだ。
……静かに、いつまでも……いつまでも。
「少佐」
航海日誌など書く柄とは言えない、そんなぐーたら艦長のラミアン=サークス少佐の元に一人の少年兵の少女が尋ねてきた。
無論彼本人が聞いたら抗議するであろうが、艦内では”そんな感じ”であった。
くたびれた軍服を着崩し、光栄あるザフトの様々な勲章すらまばらに並んでいる。
実績あれど、普段の生活態度はそれ相応とは言い難かった。
現在いる服も見てくれの清掃がされただけであり、引き出しあければ乱雑の極みだろう。
そうならないのは、今が重力の弱い艦内であり、散らせば大惨事になることを彼自身理解しているからだ。
無精ひげはここ何日も切っていないらしく生え放題。その小柄ながらも筋肉質な体も、こう情けなくてはかっこよさも半減しようというものだ。
加えて、艦長室のデスクに足をのっけながら応答しているのだから、尚更始末が悪い。
「どうした、少尉」
対してサークスの元へ訪れた少女は、一年近い間いたものの、彼の影響をさほど受けた様子もなく制服を正しく着こなしている。
無論、礼節などではなく、彼女自身が根からそういう性質だからだ。
そのことは一年見てきたサークスも理解していた。
「いえ、もうすぐプラントに着きます。だから、お礼を言えるうちに、言っておこうと思ったんです」
「お礼?」
年相応の言葉遣いで、彼女は笑顔でサークスにそう告げた。
「はい。えと……」
任務のドタバタのせいもあり、彼女は軍での礼儀を度忘れでもしたのかもしれない。
とにかく逡巡の迷いを見せた後、敬礼のポーズをとった。
本人なりにかっこよく決めたつもりだろうが、サークスにしてみればなんらかの式典でがんばって敬礼する少年合唱団でもやっている少年たちのぎこちない敬礼と、さほど大差ないように見えた。
心で苦笑している中、彼女は口を開いた。
「ライアン=サークス少佐、この度の任務、本当にありがとうございました」
月並みな台詞であるが、それでもサークスは彼女が本心から感謝しているのだと、何故かそう思えた。
彼女が礼儀正しいからではない。わざわざここに訪れたからではない。
なんだであろうかと考え、
「ああ、こちらこそ、君には幾度となく助けてもらった。礼を言うなら、むしろ私のほうだ」
思考をとめ、同じく本心の気持ちで答えた。
席を立ち、彼女の前に立ち敬礼を返す。
「そんな、私なんて、本当にまだまだでした……」
敬礼をやめると同時、悲しい顔をした彼女にサークスは笑みを作った。
「少尉、私たちは無事、プラントにつける。そのためには君に対し数多くの無理難題を課し、いや、押し付けてきた。であるのに君は答えた……君は、十分のことをしたんだ」
「……はい」
「君の兄も、いずれ見つかるはずだ。君の欠けた記憶もいずれ今より確実なものとなるはずだ。だから、今は前を向いて精一杯のことをやればいい。過去を悔いるな」
「……はい」
「お礼をしにきたのだろう? 元気出せ」
バシッと背中を叩いた。女性部隊員に「セクハラだ」と影で言われても、彼はこのスキンシップをやめるつもりはなかった。
強すぎたのか、彼女はかすかに苦しそうにしたが、すぐにその顔は笑顔になった。
「そうでした。申し訳ありません」
ほがらかで元気な彼女らしい口調の返事だった。
「元気で頼むぞ、正式に軍での手続きを済ませば、君は緑服の……いや、君ならパイロットとして赤服を着れるかもしれんな」
「もう、少佐は冗談が好きなんだから」
「そうではないかもしれんがな」
素っ気無く答え、彼は手を差し出した。
「ともかく、ご苦労だった、マユ=アスカ少尉」
「はい、ありがとうございます」
……それは、ユニウスセブン落下から一年近くが経とうとしていた、ある日の出来事であった。
ヘリオポリスでのガンダムと呼ばれるタイプのモビルスーツ奪取。
それを火種に一気に変化した戦局。
コズミックイラにおける地球圏は怒涛のごとき変化を経験した。
ザフトは軍事要塞ヤキンドゥーエの攻防で、オーブ軍脱走艦エターナル、元地球軍所属アークエンジェルを中核とした一団に敗北。
連合も多大な疲弊を負い、要であるジェネシスという決定打を失い、ヤキンドゥーエも自爆により機能不全となる。
更に前最高評議会議長であったパトリック=ザラが暗殺されたため、ザフトは事実上の行動力は大きく減退してしまった。
そこへ和平派が停戦協定のために軍部を掌握、オーブ軍代表カガリ=ユラ=アスハ主導の下、オーブによる仲裁での停戦協定が結ばれた。
「……ふぅ」
マユはそこまでを書き終えると、一息入れた。
エターナル2番艦"トゥルー"に研修生として搭乗した彼女は、やはり研修前にやっていたように最近の情勢のレポートを記し、それに対する評価分析など様々な項目に対するレスポンスを行っていた。
これはその前段階の史実のまとめである。
が、今記した情報も飽きれることに半分以上が機密事項であり、それを何故か知るこの艦長ラミアン=サークスという得体知れない軍人のようで軍人でないような艦長に「良いこと教えてあげよう」などと言って渡された情報の中にそれが事細かに記されていた。
何でも自分は研修生の中でも優秀であるそうだからその事実を知った上で改めて評価してほしいのだそうだ。
ほぼ完全に出来上がっていた彼女は、もう一度作り直す羽目になり、特に脱走兵の処遇、現在議長に至るまでの経緯を読むうちに、自分がこんなことを知っていいのかととことん困惑してしまった。
おかげでまる二日経過した今になって、大まかな内容を記載する段となってしまった。
提出は明後日だから、とても間に合いそうになかった。
既に作業を終えた友人たちは、自分を哀れみながらも宛がわれた訓練コースをこなしている。
少年兵を最初から実戦に出すわけでもないから、敵などとは無縁な周回ルートの艦で日常的な作業を習わせるのだ。
そしてこの”トゥルー”はテストの最中なので、予想外のトラブルも多々ある。
おかげで今着任している者は実戦さながらの忙しさなのだ。
少年兵は艦のおよそ4割程度で、わりかし多い人数だ。
全員が12〜15歳で、大まかな教程を終えた者が多い。
何故彼らが軍艦にいるのか。
それは、ユニウスセブン落下が大きな要因であった。
元々戦後の社会体制の混乱から、福祉などを理由に軍は雇用を増やした。
戦災で家族を失った子供に軍で教育を行い、精神肉体的な自立化を促すために様々なセクションへ据え置き、そうして実績を踏ませてそれぞれに見合った社会に送り出そうと言うものであった。
が、ここ最近になって情勢は変わった。
一年前に起きた、ヤキンドーゥエの攻防戦を最後とする戦争。
その火種である”血のバレンタイン”と呼ばれる、核で壊滅したプラントの残骸があろうことか地球へと降下したのだ。
プラント近くを軌道とするこの巨大な残骸も通常なら地球落下の軌道は取るはずもなかった。
にもかかわらずこの事態が起こったことから、プラントは即座に退役軍人を含めた全軍の動員に踏み切った。
落下したユニウスセブンが起こした被害に対する、被災者への救済援助を中止としてザフトは目まぐるしく動いた。
しかしそれでも人員は足りず、そのためローティーンエイジャーとも呼べる者たちもバックアップに回す必要があるほどの忙しさであった。
そのための訓練施設も不足がちであるため、テスト艦を使ってまでわざわざ訓練をしているというわけであった。
「あーもー、私もさっさといきたぁ〜い」
椅子に背を思いっきり預け、天井を眺めた。
「オペレーターだっけ。管制……できるかなぁ」
マユは不安で怖かった。
少しだけ、作業をやめて考えに耽った。
そもそもザフト入隊したのも、肉親が分からなかったから。
行方が分からないとか、生死不明というわけじゃない。
覚えていない。
何故自分がこうしているのかも、曖昧で――。
どこかで怪我を負って、オーブにいたらしいんだけど、そこで戦場になった。
病院を移され、様々な経緯を経てプラントへ移ったんだって、医者の人に聞かされた。
「でも覚えてない。私はマユ=アスカという名前以外、何も……」
そして、今後の生活のためにと勧められてザフトに入り、今ここにいる……。
時々ボーッとしていると、自分が何者か分からないで恐くなる時があった。
今もまた不安に駆られそうになった。
「勉強、しないと……」
思考を振り切り、彼女はデスクに向いた。
「艦長、マユ=アスカがまだ当直に訪れませんが」
「いーのいーの。俺がだした宿題がんばってっからさー」
「宿題?」
ここは”トゥルー”のブリッジだ。
艦長席を中央に、手前に戦闘指揮を取り仕切るグレン=マクレーガー、そしてそれぞれの任を持つセクションスタッフがなだらかな斜面のブリッジにそれぞれ配置されている。
自分の席に座りながら、サークスは少年たちが提出したレポートを一つずつチェックしていった。
そこまでは普通だが、あろうことか終わったものをポイポイと空中に投げ出していった。
「あの、艦長……」
「後でおもしろい掃除方法見せるから、まぁ今は勘弁してくれ」
言いつつ点検したものを次々と空中に放り投げていく。
サークスの回りは雲でもあるように紙一色になっていく。
器用にも、ほかのクルーがいる場所に飛んでいかないのだから、飽きれるほど手馴れている。
「まぁ、なんだ。この間上から頼まれた再評価のやつを、仕上げてもらってるんだ」
「上からの? それって……」
嫌そうな顔をして、先ほどから話しているオペレーター、ダリア=クローリッツがサークスのほうを見た。
女性のような名前でありながら、ダリアは男なのだ。
そのためにコンプレックスが酷い。黙っていれば短い髪が似合うスタイリッシュな好青年なのだが。
「ああ、そうだ。機密文書だなぁ。SSSクラスか〜?」
顔こそ紙の雲で見えないが、サークスが面白そうに言っているのが目に浮かんだ。
「そんなものを、子供に……しかも研修生ですよ!?」
怒髪天になったダリアは、上司であることも構わずサークスに抗議した。
元々サークスの部隊が元いた部署で一緒であったためか、ダリアが抗議することにもサークスは眉一つ動かさない。
「なぁに。気にするな。結構口が堅い子だから、大丈夫」
「大丈夫じゃありません! 上層部に知られたらとんでもないことに……!」
「だから、大丈夫だって言ってるだろう。彼女には"こういう仮想とも思えるデータで、レポートしてほしいんだが"と言って手渡したんだからな」
その一言にダリアは更に怒り骨頂のようであった。
「それなら、尚更じゃないですか!! 暗に事実だけど嘘っぽいと言ってるわけですから!」
「ま、そうだなぁ」
適度に終わったらしく、掃除機のように空気を吸いこむ機械で紙をドンドン集めていく。
本来こういった整理は他の兵士がやったりもするようだが、サークスはそういったものを嫌っていた。
終えたところで、改めてダリアを見た。
「しかし、だ。彼女は一年この艦にいるんだ。配属予定もないもんだしな。なら、いいんじゃない?」
「あ、あなたって人は……」
あまりにアバウトな物言いに、ダリアは脱力した。
黙っていた他のブリッジクルーまでも、影で笑っている。
「おやおや受けた? これは今度からダリアにはもうちょっとがんばってもらわないとなぁ。俺との漫才」
「何故、俺がそんなことを!」
やれやれ、とサークスは苦笑して、
「じゃあ、命令だ、と言えば聞いてくれるか? ダリア」
「そ、それは権限の濫用じゃないですか」
「じゃあ俺の頼みだ」
とサークス。
ダリアも流石に押し問答に疲れたようで、
「分かりましたよ……」
そうして、折れた。
(……ま、話題すり替えたのに気づかれなければ、いっか)
などと、サークスが思っているのも知る由もないだろうが。
その時”トゥルー”の艦の後方、ただ虚空しかない空間が僅かに歪んだことに気づいた者は、誰もいなかった。
”トゥルー”が搭載できるMS総数はおよそ6機である。
そのため格納庫はかなりの規模となっており、その機体の予備部品を確保するブロックも相当に大きい。
しかし現在はMSの搭載数制限が課せられており、現在”トゥルー”は哨戒用にジンが2機搭載されている。
ジンは既に現役を退いたロートル機であるが、生産ラインがほぼ新型であるゲイツや、そのマイナーチェンジであるゲイルRに移項した今となってはそれなりに貴重な機体となった。
しかし、前大戦を生き残ったモビルスーツもそれなりに存在している。
そしてその2機はその一つにあたっていた。
「あら、マユちゃん」
格納庫のジンの前でデータ抽出を行っていた整備員のメルフィー=レイナードは、研修生でも一番年齢の低い子として伝えられていた少女がいることに気づいた。
恐らく整備ブロックでレクチャーを受けている友人に会いにきた帰りなのだろう。わずかに笑みが残っている。
「あ、フィンさん、こんにちは」
気づいたマユは
「こんにちはぁ。やっとレポート終わったんだ?」
フィンとは彼女のあだ名だ。
マユは彼女を見るといつも「大人の女性だなぁ」と感じていた。
長い髪を綺麗に後ろで一つの三つ編みでまとめ、片目眼鏡をつけて服も軍服ながら……サークスの影響だろうか……わりかしファッションセンスにあふれている。
ちょっとした所にアクセントがあり、たとえば胸元にはメビウスリングのようなアクセサリの付いたネックレスをつけている。
これが中々メルフィーには似合っていた。
「それが、まだなんです」
少し後ろめたそうにマユは頭を垂れた。
事情を誰かしらかに聞いたか、メルフィーは持っていたファイルボードを手近な場所におくと、近づいてマユの頭を撫でた。
「サークス少佐から追加分出されたんでしょ? がんばってできるとこまでやればいいと思うな」
マユは頭を振った。できれば最後まで終わらせたかったのだ。
「でもそれじゃ終わったことにならないんです」
フィンは背を屈め、マユと同じ目線で話すことにした。
困っている少女の顔を放っておけなかった。
「大丈夫よ。無理があったのは分かってたんだから、間に合わないことを説明してくれれば分かってくれると思うわ」
途惑うマユにフィンは微笑んで見せた。
が、すぐに顔を膨らませた。
「それにしても、少佐も少佐よねぇ。昔から使えそうな人をおちょくってるんだから」
突然愚痴を言い出すフィンにマユは驚いた。
あまりにも子供染みた言い方が、大人の彼女らしくないように思えたからだ。
フィンはデスクに向かい、イスに腰掛けた。
ジェスチャーだけでマユに隣の席を薦めた。
今のところ急いてもいないので、彼女は座ることにした。
(――フィンさんの昔話なのかな?)
マユにしても、何度か見てきた大人の代表格である彼女の話を聞けるのは嬉しかった。
「昔さぁ、私も軍の片隅でそりゃあ楽しくプログラムを組んでたのよ。彼氏もいたのよぉ」
焦点はマユを向けたまま、大袈裟なくらい身振り手振りをしてみせる。
「それがさぁ、聞いてよ。私が得意げに出したプログラム……コーディネーター用のモビルスーツのオペレーティングシステムの武器関係のなんだけどね……それをさ、どこから出てきたのかあの少佐に見られちゃってねぇ……」
「何か悪かったんですか?」
率直に話の続きが気になり、マユは尋ねた。
待ってましたとばかりにフィンがズイッと身を乗り出してきた。
「最悪なんだよ、ほんっとーにっ! お偉いさんが見たら喜ぶぞって、私をMSの支援装備の開発とか、MSのソフトウェアの仕事にまわしてくれたんだけどね」
そこでため息をついて、悲しげに続けた。
「良かったのはそこまでよ。職場近いから彼氏と付き合えたのに、転勤先は長い年月プラントに戻らないこのテスト艦。おかげで彼氏とは……」
「会えないんですか?」
話の終わりは聞かなくてもマユに想像できた。
「そう、会えないのよぉ……」
残念そうに肩を落としたところで、ちょうど他の整備員が急用だろうか。
慌ててフィンの元へ駆け寄って会話を始めた。
その時には既に彼女は会った時の知的な女性へと戻っていた。
本当に不思議な人だと、マユは思った。
(……それにしても)
目の前のやり取りを聞きながらマユは考えた
(……会えない……私も、家族に)
戦後プラントに渡った後、身元確認のためにオーブへ家族の行方を問い合わせたが、返事は「残念ながら戦後処理の段階で、確認がとれませんでした」との旨を伝えられた。
ただし、分かったことはあった。
その一つが家族構成である。
父と母……そして、いくつか年の離れた兄。
(私の……お兄ちゃん)
名前をシンと言うらしい。兄に関してだけは、行方を辿れる手がかりがあった。
戦争中一時オーブ軍に身柄を保護されていた。
軍の医療救護施設での治療の記録もあった。
何故自分と兄が離れ離れになったのか、ハッキリとはしていない。
恐らくオーブのオノゴロ島が地球連合軍に襲撃された折、逃げる時にはぐれてしまったのだろう。
(会えないかな、お兄ちゃん)
兄の顔もを思い出せない。
それでも会いたかった。記録にあった兄の写真。
過去との自分を結ぶ今唯一の接点であった。
写真は父母の物もあった。
しかし、マユは何故か直感してそう思えた。
(……お兄ちゃん)
無性に悲しかった。何故だか、悲しい。
「マユちゃん?」
「…は、はぃ? …ひぃやん!」
下を向いていたマユの目線にフィンが顔を覗かせた。
驚いて飛びはねたがその時イスの足に引っ掛けてしまい、滑ってフィンのほうへ倒れこんだ。
「わっ……と、大丈夫?」
「はい。でも、ごめんなさい」
抱きかかえらえられていた。重力がほとんどないので、そこまで大きく倒れこむことはなかったが、勢いにのってフィンに突進する形となっていた。
おかげでフィンはマユを受けとめたせいで空中に投げ出されている。
比重さから考えればそこまで勢いはなかったろうが、フィンはマユに比べて支えがなかったためもあって、盛大に弾き飛ばされる形になったのだ。
「あらら、どうしたもんか」
手近な場所を探していたが、悲しくもそこは格納庫中央を横切るコースだった。
「ごめんなさい、どうしよう」
「平気よ。 メルディース、ちょっと助けてくれなーい?」
遠くジンとは別ブロックにいるパイロットスーツの男性がこちらに振り向いたのが見えた。
浮かびながらゆったりしていたようだが、フィンの声を聞いてこちらへ飛んできた。
「何やってんだ、お前は」
空中で二人をダイビングキャッチし、男は格納庫通路へと二人をワイヤーで誘導した。
かなり手馴れているようで、30m近く離れている通路へと難なくたどり着いた。
「ちょっと、不可抗力。ありがとう、助かったわ」
歳は17、8であろうか。20台そこそこのフィンと比べれば幾分若い印象だった。
ザフトの緑服が着る一般用のパイロットスーツに身を包んでいる。
ボサボサした髪をしているが、それが癖毛なのかそれとも無重力故なのか、マユは判別しかねた。
「へぇ」
フィンの言い分を聞いて、彼はマユに視線を移した。
「よう、こんにちは。研修生かい?」
膝を曲げて見上げるようにし、優しい笑顔を見せた。
「はい。マユ=アスカって言います」
自己紹介をして、笑顔をするつもりであったメルディスは、妙なワードを聞いてキョトンとした。
「……アスカ?」
「そうです。どうかしました?」
「……いや、なんでもない」
野暮な話だから、とメルディスは続けなかった。
メルディスはフィンを見上げ、目線を彼女に向けたまま立ち上がった。
「それはそうと、アフツィーニのおっさんが言ってたシステムの組み上げ、終わったのか?」
アフツィーニとは”トゥルー”の兵器整備主任である。
五十代前半の第一世代コーディネーターでサークスと肩を並べる日常の大雑把さが取り柄である。仕事はかなり良いものなのだが。
仕事の話にフィンは肩をあげて、
「ぜーんぜん進まないわよ。そもそも近中遠距離を統括する武装なんて、私には考えられないわよ。どんな風にしろっていうの?」
「俺もあんなピーキーは試作機、上手くは扱えないって」
メルディスが愚痴した物。それはテスト用MSが搭載する装備だ。
本来は戦場の拡大を目指し開発された装備で、ザクというザフトの新型MSは”ウィザード”と呼ばれる背部武装追加パックによってMSのキャパシティを大きく上昇させるものだ。
現在メルディスフィンが取り組んでいるのも、そうしたパーツの一つである。
「試作機自体はいいのよ」
フィンはため息を吐いて、メルディスに訴えた
「でもダメ。元々想定以上の重量に、兵器が1個1個があまりにも巨大すぎるのよ。どう調整したって、あんなものを振り回し続ける強度もエネルギーもないわ」
「ま、そこを何とかしないといけないんだろうがなぁ。……おっと」
話に置いてけぼりにされていたマユに気づいて、メルディスは話を中断することにした。
「悪いな。こんな話聞いてもおもしろくないだろう」
「ええ、大丈夫ですよ。どんな話かあんまり分かりませんでしたし」
言って、笑みを見せてくれた。
幼さ故の純粋さだな、とメルディスは感じた。
「そっか」
メルディスは彼女に笑い返した。
「艦後方に反応!!……識別、大西洋連合!」
管制官の叫び声がブリッジが突如として緊迫した空気に包まれた。
ほぼ同時にレッドアラートが明滅し、艦内部のあちこちで騒がしさが一層増した。。
サークスは各部署へ伝達を送ると即座に自身も状況確認へと移った。
流石に少佐という地位を手にしただけに、そこへ行くまでの手並みは鮮やかであった。
数分後には主砲発射体勢にまでのフェイズを終えた。
かなりの数が研修生であるというのに、よくぞとサークスは思った。
「……民間船も装わず、後ろをとったからと堂々とご登場か」
第一種戦闘態勢発令した後、サークスは訝しがった。
「妙ですね」
ダリアがポツリと呟いた。
「ああ、妙だ。ここでセオリーなら、こちらの準備が整う前に撃つな。今は後ろを突かれている故に使えないが、こちらはギリギリ主砲の射程圏内だ。それに……」
先ほど指示を与えたレーダー班の回答を確認するべく、サークスはブリッジの向かって右側へ視線を移しました。
同時、担当官が報告してきた。
「艦長、相手の艦の周辺にデブリらしきものも見受けられません」
「了解した。まさに、青天の霹靂か」
相手艦は”トゥルー”のレーダーに反応しないように近づいたということだ。
無論、反応を見せたということは、即座に次の行動に移るはずである。
現在も艦との位置を一定に保ったまま後ろを追従してくるだけだ。
(何故通達をしてこないのだ……)
現在はプラント地球間は停戦状態であるのだが、時折地球連合と遭遇すればそれなりの緊張を強いられているのが現場の実情だ。
例え2年という時間が過ぎようとも、一度武器を取って殺しあった間柄とすぐに仲良くなどできなかった。
「相手からの通信は」
「こちらから全回線で連絡していますが応答ありません。スケジュールにもない艦です」
ここはプラントの了解にそれなりに近い。停戦中とはいえザフトの軍事内容を知られないためにプラント付近を通過する場合、連合民間問わず運行スケジュールの提出が義務付けされていた。
無論後ろの艦はそれに値しないイレギュラーであると、皆が全員知っている。故の緊張だ。
「イレギュラーか……」
サークスは”トゥルー”の現在の航路を図面に表示させた。
「申し訳ありません、遅れました」
その折、副長であるライグ=アンヴィエントが入ってくる。
本日は一部研修生の講習のために艦の下部ブロックにいたため、第一戦闘配備にやや遅れての登場である。
ザフトの赤服の衣装を身にまとっている。彼が10代にして"副長"という地位にいられる何よりの理由だ。
今時珍しいほど髪を切り、艦長帽子の下はほとんど髪がないだろう、というくらい切り込んでいる。
故に人目見たときのインパクトは大きい。
「艦長、援軍への要請は?」
「既に最寄のアーモリーワンへ援軍要請は出してある。……例の強奪事件で大分やられたそうだが、こちらに出せないこともないだろう」
それを聞いた後、副官席で補助操作をしていたダリアから席をシフトし、艦の兵器搭載システムをチェックする。
「ミーティアを積んでない分火力がつらいですね」
若い割に淡白とした部分がダリアと対照的なのが彼だ。
副長としては申し分ないのだが普段の生活ではサークスはやや彼が苦手だ。
「相手が”トゥルー”より早くなければ逃げ切れるかもしれんがな」
”トゥルー”はエターナル2番艦であるが、一番艦よりも更に加速性能を追求している。
その為に全体的に後部のシルエットは肥大しているのが特徴である。
MAミーティアと呼ばれる全長100mほどのMS支援武装ユニットも一番艦同様搭載が可能だ。
しかし現在のご時世からいけば不要な装備であるため搭載されてはいない。
「副長、敵をどう見る?」
今あえて”敵”という言葉を使ったのはもはや癖としか言い様がない。
しかし、こちらの応答に呼びかけず後ろを追い続けるのであればそう形容しても問題はあるまい。相手はこちらにとっては十分に脅威だ。
「明らかに何らかの行動を行っていた。そして、その標的が私たちというところでしょうか」
「なるほど。参考にしよう」
「艦長はどうお考えで?」
「そうだな。まず一つ。レーダーに映らないステルス艦であるなら、何故わざわざ存在を知らしめる必要があったのか。二つ目は、何故我が艦を追跡するか、だ」
自分に言い聞かせるようなニュアンスがどちらかといえば強かった。
「ですが現在の状況でそんな行動をとっても何のメリットもありません」
「さぁな。もしかしたら開戦するのかもしれんな」
縁起でもない一言にライグは顔を顰めただろうが、サークスは気にもとめない。
「ダリア、相手艦と我が艦の航跡を記録、それに付近の状況はどうだ」
「順調です。付近の探査は」
「……艦長?」
何故航跡を記す必要があるのか、ライグは訝しがった。
「今はこの宙域の探査よりも相手艦から逃げるための――」
「分かっている」
ライグの言葉を遮ってサークスは説明を始めた。
「ライグ副長、おそらく相手にとってこちらも予想外なんだよ」
「予想外でありますか?」
「そうだ。おそらくこの宙域に何かが、ある。そしてそれは意外と見つけやすいものだ。そこで、あの艦はこちらへの注意をそれから逸らすために出現した、と見るな」
そう言って、溜息をしてからポツリと呟いた。
「今が戦時中なら、撃たれているだろうがな」
と、そんな言葉をこぼしたのが原因ではあるまいな、と後にサークスが思わせるようなことが始まった。
「……艦長」
データ操作に専念していたダリアが、隣のオペレーターからの報告を受けて青ざめてこちらを見ている。
「どうした、何か分かったのか?」
「いえ、ですが大変ですよ、これは……!」
「落ち着いて報告しろ。何がどうした」
ダリアの深呼吸が聞こえた。
「本日付で地球大西洋ユーラシアの連合軍、更にオーブが同盟してプラントへの宣戦布告を発表しました……!」
サークスは持っていた帽子を深く被り、顔を隠して呻いた。
「最悪とはまさにこのことか。相手も律儀であったが、今以上に義理を通す必要も消えたな」
それを体言する報告が飛び込んでくる。
「敵艦から高エネルギー反応、きます!!」
いざ戦闘となれば、学生以外のブリッジクルーはヤキンドゥーエ以前の実戦経験者も多い”トゥルー”の反応は素早かった。
「右舷への回避行動!! 最大加速で振り切るんだ! 同時に対ビーム爆雷、チャフを散布!」
僅かな時間で”トゥルー”は回避機動に移る。無論一発目の攻撃は回避運動は到底間に合わないが、以降の攻撃を回避するものだ。
同時にチャフグレネードが艦後部に、艦周辺に信号弾のような輝きを放つ対ビーム爆雷が散布された。
これでビームミサイル兵装の被弾率を大幅に下げることができるはずだ。
銀色に染められた船体が吼えた。緊急加速の衝撃でブリッジは揺れ、流石に慣れないクルーは声を上げたようだ。
揺れる船内の警戒アラームが消失した。
一撃目は外れたのだ。
それを確認したサークスは加速を抑えるように命じた。
更に最初の危機を乗り越えたサークスは安堵し、同時に叫んだ。
「よくやった! いいか、この艦には子供が山ほど乗っている。当てさせるなよ!」
『了解!』
ほぼブリッジの全員の声が重なった。
ここにいる人間に共通することは子供が大好きである点に尽きる。
それ故に士気の高さにサークスは感謝した。
しかし、喜んでばかりもいられない。まさかこのタイミングで開戦するとは、サークス自身思ってみなかった。
今は緊急であればこその迷いがないだろうが再び戦争という事実に向き合えば、皆当惑した面持ちとなるのだろう。
サークスはブリッジを見渡し、微かにそれを憂いた。が、同時にこれからのことも考えることにした。
今の状況はMSを出すには相応しくない、それが普通だろう。
逃げる母艦、しかも高速艦に追いつけるモビルスーツはほとんど存在していない。
あるとしても、噂で耳にしたのはジャンク屋ギルドが地球軍の追撃を正体不明のシャトルで振り切ったというものだが、信憑性もあるまい。
しかし、とサークスは思った。 このままではどの道逃げ切れないだろうと思った。
現に相手の足も思いの他に早く、恐らく今だ相手の射程圏内から脱出しきれていないはずだ。
援軍もそう早くはこない。
ならばとサークスは考え、管制官に指示を出した。
「ジンにはアムト、レニスの両名に当たらせろ! ……メルディスには例の新型で出撃させろ」
「撃ってきたのか!」
船体が急激に加速の方向性を変えた。
固定されているものはまだしも、その他の細かな物が空中で散乱しかけていた。
メルディスたち3人は先ほど彼のいた場所へと戻り、そこで震動を耐えていた。
震動が終わると同時に通信がはいった。
『格納庫は出撃準備、MS隊発進用意』
整備員たちが次々と作業を手早く終えて退避する。
全く戦闘することなど考えもしなかっただけに、今慌しい。
「フィン、新型のバックパップは動かせるのか!?」
「ムリよ。火器管制のOSが完璧じゃないのよ。照準システムもエネルギー出力の調整だって……」
「ともかく、出撃命令が出たなら、いくしかない」
メルディスはヘルメットを身に着けると即座にシートを剥がしている兵器群へ走っていった。
それを見送り、フィンが悔しそうに呟く。
「せめて、もう少し時間があったらなんとかなったのに……」
「あの……」
そこへ一人の少女が歩いてきた。
先ほどからずっとフィンと話していた少女。
マユは自信なさげに、しかしそれでも瞳は真っ直ぐでフィンを見た。
「……? どうしたの、マユちゃん」
「私、艦の火器管制の仕事が研修内容なんです。MSの調整もやりました。できれば、手伝わせてください」
一瞬何を言われたのか分からず、フィンはポカンとした。
しかしすぐに気を取り直してマユに諭した。
「ごめんね。気持ちは嬉しいけど、研修生を戦いに巻き込むわけにはいかないの」
「……そうですよね。ごめんなさい変なこといって」
「ううん、いいのよ。気持ちは嬉しいから」
フィンは小さな勇者の頭に手を置いた。
「マユちゃんも、早く艦の安全なブロックへ行きなさい。ここは隔壁が少ないから危ないわ」
「あ、せめて……!」
ハッとしたようにマユは顔を上げた。
「うん?」
「せめて、フィンさんも一緒に……」
「そうね。もう少ししたら私も行くわ。あなたは行きなさい」
「はい、分かりました」
その背が小さくなっていくのをフィンは眺めた。
そして一度だけ、彼女に振り向いた。
「急いでくださいねー!!」
「分かったわよ、そっちも気をつけてね!」
フィンはマユに届くように声を張り上げた。
少女はそれを見て、安全であろう中央区画へ非難していった。
「ごめんね……マユちゃん」
彼女は振り向いた。そこには軍用の宇宙服が入ったバックがある。
「嘘ついちゃって」
彼女はそのバックのロックを静かに外して、中を開けた。
「続いてジン、アムト機を確認」
「メルディス機は?」
横サイドにいる管制官の女性にサークスが確認する
「後数分とのことです」
「急がせろ」
「分かりました」
さきほど第一射はサークスの予想の通りの外れであったが、以降二射目がくる気配はなかった。
一射目は回避行動を取ったが、概ねそれは不要であるほど、相手の攻撃は見当違いな方角の虚空へと消えた。
いま恐らく威嚇といったところだろう。
「やはり奴らにとって俺たちを落とすのは元々本意ではないと見るべきなんだろうな。それとも情けをかけてでもきたか」
もし後者なら、なかなかに人間はできているが軍人ではあるまい。
「ならばやはりこの宙域にいる『何か』を知られたくないのだろうな。ここで我が艦が撃墜されれば……」
つまり援軍はこの宙域へと訪れるだろう。彼らとしてもそれは好ましいものではないはずだ。
「だが、そのボーダーもそろそろだろう」
既に追跡を行って15分あまりが経過する。接触ポイントから相当距離がでてきている。
そこまで思案した後、サークスは行動に出る。
「MS隊は本艦反転後、ただちに敵戦艦への攻撃を開始しろ。 フィニス、艦を反転後、スラスターで逆噴射しろ、最大限でだ!」
「了解。……あれ……え、えぇ!?」
サークスが今いったのは無茶の一言だ。
元々”トゥルー”は最大加速に特化した艦であるが、その他の推進能力は通常ザフト艦と大きな差はない。
艦が後ろ向きに移動するなど、元々の特性を奪うこと以外何者でもないのだ。
それどころか本来制御推進剤はそれほど多く使えるものではないし、艦を動かす能力も微々たるものだ。
操舵をしているフィニスは新米軍人。
ペーパーテストでは好成績でも、実際では細かいミスが目立つデスクワーク型だ。
故にこの命令に動揺しているし、自信もなさそうだった。
「子供がいるんだぞ、こちらは! 急げ!」
「わかり、ました!」
意を決したフィニスは声を張り上げる。
「タイミングは俺が通達する。いいな、ここだけは頼むからしくじるなよ。各セクションも用いる技量を最大発揮してくれ、検討を祈る!」
「格納庫から発進要請、メルディス機いけます!」
同時に新型機の準備を完了が知らされる。
「今からでは間に合わんな。こちらが指示するまで待機させろ。ダリア、合図と同時に推進停止、艦を旋回させろ。減速をなるだけ抑えろ。 フィニス! いいか、同時にお前は舵をふりきれ、敵の攻撃がくるかもしれんが、緩めるなよ。後ろを向いたと同時に主砲準備だ。いつまでもこちらの尻の穴を相手に見せ続けはさせんぞ!」
サークスは一気にまくし立てると、そのまま黙り込んだ。
唐突のブリッジを静けさが一気に支配していく。
先ほどの談笑していた活気も、艦長の怒号も総てを失っての沈黙。
何故これほど静かなのか、恐らくサークスを含めて誰一人として分からなかった。
聞こえてくるものといえば駆動する機械音くらいであった。
第一種警戒態勢のアラームが外で鳴り響いてるのかもしれないが、現在こちらでは既に停止しているし、外の音は防音が施されたブリッジには入ってこない。
たった数分。
この艦の命運はそれだけにかかっていると言えた。
いや、実際そうなのだ。
相手には後ろを取られている。もし後部エンジンにでも直撃すれば艦は火の玉となるだろう。
まだか、とブリッジクルーの誰もが思った。
艦の横ではトゥルーの行動に合わせるようにMSが降り立っている。
今しばしの沈黙、それを破ったのはサークスだった。
「……全員への対ショック用意は?」
「第一種戦闘態勢と同時に発令中。全セクションにおいて配置完了」
「そうか……。」
サークスは艦長の証である帽子を被り直した。
「後は鳴るゴングを待つだけだ」
言うが早かっただろうか。
担当官の声がブリッジに響く。
「きました、敵主砲に高エネルギーを感知、モニター結果は……こちらへの直撃コースです!!」
ここまでくればやることは決まった。
後は神のみが結果を知っているだろう。
なんともなしにサークスはその確信を得た。そして、叫んだ。
「あちらさんには大分手加減してもらって恐縮だが、ここからは反撃する番だ。恩を仇で返してやるぞ! ダリア、いけ! フィニス、任せるぞ!」
『了解!』
二人の叫び声が重なる。
同時に警告音と、艦が強引に横運動することでおきた強力なGが艦を包み込んだ。
Next第2話「突破-Counter Attack-」】
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