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黄昏の夢〜あるザフトの少年〜
どうして、助けようとしなかったの?
どうして、僕はあの時子供だったんだろう。
僕がオレがザフトを内側から変えていけることが出来たら本当に何か変わるんだろうか?
ラクス様、貴方はどうしてコーディネーターを仲間を傷つけたのに笑えるんですか?
戦争はまだ終わってないのに。
プラント最高評議会の一員でありオクトーベル市の新議員の息子、レンナラアスタールはラクスクラインが議長就任となる瞬間をその紫がかった緑色の瞳で見ていた。
「ラクス様」
「ラクス様」
皆が新しい喜びに満ち溢れる中、レンが素直に喜ばなかった。
その時のレンはまだほんの子供だったし、ピンク色の髪と深く澄み切った青い瞳の美しい女性が光り輝く存在に見えた。
「誰か、ラクス様に質問ある子はいませんですか?」
二次会で新議員や評議会の関係者、マスコミ、そして名門の家柄の子供達だけが集められていた。
「世界は今だ悲しみに沈んでいます、私たちがこれからしなければいけないのは世界から差別と戦争をなくすことです」
言葉で僕の友達の父親のパイロットをフリーダムに殺させておきながらその人は天使のような笑顔を浮かべる。
ラクス様は責任から逃れたくて、恋人と隠遁生活を送っていたらしい。
父さんもなぜギルバート議長がなくなったばかりだというのに笑っていられるんだろう?
「さすが、ラクス様ですね」
欲深くプライドが高く、いかにも野心家といった父親。
「僕もラクス様の考えに賛同します」
銀髪のオールバックと赤い瞳の長男、ロイド兄さんもおなじようにラクス様にへつらう。
「あの、質問があります」
僕は友達から抜けてラクス様の前に進み出る。
「フリーダムが撃った今回のザフトの戦死者は、犯罪者としてそれとも国を守る独りの軍人としてどちらに葬られるんでしょうか?」
レンは真剣な眼差しでラクスにその質問をぶつける。
「なんて事を」
周りがまるでまずい事でも聞いたように、ダークブラウンの髪の少年に気まずそうな視線をぶつける。
「レン、華やかな席でなんて事を」
慌てたロイドがレンの小さな腕をつかむ。
「それは当然、軍人として葬られませんわ。だって、彼らは誤った考えでオーブに攻め入り、あの前議長に賛同してたんですもの。道に過ったものが軍人として葬られるなんて名誉ざんじて与えてはなりません!!」
すると、周りから拍手の喝采が一斉に行われた。
「そ、そんな、仲間なのに同じコーディナーターなのに?」
ラクスが優しくレンに笑いかける。
「力がないものや私たちの平和を脅かすものは武力をもってしても倒さなければなりません。ですから貴方もプラントの為に立派な大人になりなさい」
掴まれた右腕がなぜか痛かった。
それから、僕はザフトに入った。
「何だよ、議員のお坊ちゃまがよ」
「あんなボンボンすぐやめていくさ」
そんな声もあったけど、僕は無視して、士官学校にい続けた。
世界は平和条約が締結しているものの、今だ各地で戦争の種が残っている。
「お前絶対軍人に向いていないと思うけどな」
「何で入ったんだ?」
冷やかすクラスメイトや上官に何度も同じ質問をぶつけられた。
何かを守りたいだとか地位とか財産にこだわる家でみそっかすだから、いるのが辛いだとか関係なかった。
ただ、僕はザフトに入って、真実に触れてもたかった。
だから、パスワードを変えて政府機関のサイトの隠しページを検索したり、二度目の戦争の新聞をかたっぱなしから見ていった。幸い、僕はパソコンが得意だったのでハッカーじみた技術をどんどん習得していった。
そして、知ったのは。
エターナルとアークエンジェルが個人的感情で戦場を混乱させ、被害を出した事。フリーダムのパイロットがオーブ代表略奪して、プラントに戦争吹っかけた事。デスティニープランの書いたノートは前議長のものか確認せずに戦闘行為に走った事。
もみ消された後がある新聞にはラクス様暗殺事件、彼らが戦闘に復帰した出来事がかいてあった。
彼女を殺そうとしたのは、アスランザラの父親の強行派を崇拝していた一議員の仕業であり、ギルバートデュランダルがやったことではないということだ。
なんて醜悪でなんて傲慢。
これでよく戦争を終結させた英雄といえる。これではまるで一回の反逆者と同じとはいえないだろうか。
本当にこんなことをするものが英雄といえるだろうか。
「オレに何が出来るんだよ」
今告発してもきっと闇に葬られて終わるのはオレだけだ。不敬罪だとか何とかで、そんな事で終わる。
MSの成績は普通。ナイフ戦や銃撃戦も普通。
「お前は何やってもだめな子だな、まったく誰に似たんだろう」
そう、オレはあまりに無力だ。
俺は常に普通の成績をとり続けてきた。
「もう本当、キラ様って最高よねvv」
「そうかなぁ?」
同期の女子はキラヤマトやアスランザラに夢中だし、男友達はラクス様に夢中だった。
「おまえ絶対変だよ、レン。クライン議長のような慈悲深く優しいお方がまちがったことをするわけがないだろ」
「そうかなぁ」
15歳になったオレはフランシス隊に配属され、辺境地域をMSに見回るようになった。
地球統合組織でキラヤマトたちは正義の為に銃を握らせている。
プラントやオーブではあいかわらず崇拝者ばかりで、そこには生きている人間などいなかった。
「レンナラアスタールですか、今度のロゴス残党狩りのメンバーに」
「家柄も成績も上々のようですし、赤服に昇格」
「しかしくれぐれもこのことは本人に言わないように。SEEDを持つもの、なんて今はいえないですからね」
軍の上層部で、そんな話が盛り上がっていた。
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